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Friday Column

No.164

『福島だじゃれ旅』

さぁぁぁ、洞爺湖サミットですよ、ワクワクしますねぇ。え、しませんか? あ、そうですか。まぁ私も特にワクワクしてるわけではなく、一応書いてみただけです。さて、先週末は仙台・新潟・名古屋公演、楽しくやらせていただきました、ありがとうございました。そんな今週の『金曜コラム』は仙台公演翌日、レンタカーを借りて自身の運転で新潟へ向かった東日本横断の旅について書きたいと思います。中一日あったので一旦東京に戻るという選択肢もあり所属事務所のスタッフはそうしたんですが、いやしかし私の場合は毎週の金コラ執筆のネタ作りという日常的に重要なこともあって、やはりこの移動日は有効に移動しなければなりません。地図を見ると一目瞭然ですが、仙台から東北新幹線で大宮に戻ってそこから上越新幹線に乗り換えて新潟なんてのはたいへんにバカバカしく感じたもんですから、車ではどのくらいかと調べてみると、東北自動車道→磐越自動車道の最短コースで253km、所要時間は3時間ちょいってことですから、「なぁんだ、だったらレンタカー乗り捨てでしょう」ってことに決定しました。

だからといってどこにも寄らずにぶっ飛ばしてサラッと新潟に着いちゃうのも味気ないですから、道中どこに寄り道すべきかと地図を睨みつけていたら、あるじゃないですか行くべき街が、そうです、福島県の喜多方市です。喜多方で喜多方ラーメンを食べるのです。喜多方の有名店『坂内食堂』が基礎になったファランチャイズ店は全国に多数あり、そのうち2軒ほどで食べたことありますけど、やはり当地喜多方で食べて初めて喜多方ラーメンを食べたと言えるのですから、未だそこに足を踏み入れてないこと自体が元ラーメン刑事としてあってはならないことだったのです。

それからついでに“猪苗代湖”。ついでって言い方もなんですけど、特に湖マニアでもなんでもないもんですから。しかし基本毎週往復の東京—札幌線で上空36,000フィートから何百回と見下ろしている猪苗代湖の付近を陸路で通過する以上はチラッとでも立ち寄らないわけにはいかない気持ちになるのは自然なことです。


いつも空から見下ろしている猪苗代湖

というわけで6月27日(金)、仙台のホテルを午前10時に出発。GIPさんに手配していただいたレンタカーはなんと今話題のハイブリッドカー、トヨタの『プリウス』。従来のガソリン式エンジンと電気的モーターを併用してガス排出量を通常ガソリン車の約75%にまで押さえるというアレです。これがね、スゴいですよ。もう、【POWER】ボタンを押すだけでエンジンがかかり、しかも全く音がしないんですから。私のように90年代初期の高級北欧車にかれこれ16年も乗り続けてると、もうこういう最新国産車は、よくできたゲームよりもリアリティがないと言うか、“クルマ”って感じしないですね。車体もコンパクトな流線型で走行時の空気抵抗を最低限に押さえてるんでしょう、アクセルを踏み込んだときのみエンジン音が人工的効果音のようにわざとらしく聞こえる程度で、あとはもう無音ですよ。これ、ある意味・逆に・ある反面、危ないです。だって、いつもの車に乗ってる感覚で高速道路を走り、ふと速度表示を見たら、うわっ、ビッツラコキーユサンジャック。私が感じているスピードの約1.3倍のスピードが出てます。それでも“音”がしないんですから、これは危険ですよ、ハッキリ言って。

まぁしかし、このタイプの車がどんどん出てきて、価格も安定して一般化することによって、地球温暖化の加速度を軽減することにつながるのであれば、時代がそっちに向かうのは当然です。もう10年もすりゃ世の中みな電気系自動車に乗っている頃に、私がまだ今の高級北欧車を大切に乗り続けているとすれば、それはマナーの悪いヘビースモーカーのようなとらえられ方をするのかと思うと、なんだか変な気分ですね。だって私はまだ充分機能するモノをホイホイ買い替えたりせず愛着を持って大事に長く使ってるだけだとしても、それが結果的に社会的悪者にカテゴライズされてしまう可能性は充分あるってことです。80年代には“一途で熱心な人”だったのが、90年代になると“ストーカー”と呼ばれるようになってしまったのと似た感じです。時代の流れというものにおもしろみよりはなにか腑に落ちないものを感じている私はマイノリティでしょうか。ちなみにみんなは当日現地入りなのに、ホテル代自腹でも前日入りする人はマエノリティで、海外旅行に海苔とお茶を持ってく人はマイノリティーです。はい、予定どおりにわけわかんなくなってきたので話戻します。


郡山JCTから磐越道へ

というわけで、東北自動車道をびゅんびゅん南下します。数日前の予報では雨が降りそうな雰囲気だったんですが、えらく気持ちいい晴天です。郡山ジャンクションから磐越自動車道・新潟方向に入ってしばらく走っていると【FM福島 81.8】と看板が出てたのでカーラジオのチューナーを合わせました。ふと無意識に福島弁を期待してしまったんですが、よぉく考えなくてもそんなわきゃない、普通に標準語でFMっぽい女性DJがしゃべってました、そりゃそうです。でも思ったんですけど、ラジオってその土地土地の言葉でしゃべったほうが楽しくありませんかね。なんか全国どこ行っても同じ感じのジングルが入って同じ感じのDJやってるってのもつまんないでしょう。「この前さぁ、磐越走っててFM福島聴いてたんだけど、ぜんぜんわかんなくってさぁ、おまえわかる?」なんて会話がありえたほうが、車であちこち行く人には楽しいんじゃないでしょうか。まぁいいですか。なんてことを考えていると前方になんとも男らしいフォルムの磐梯山が現れたので磐梯三唱。


バンダ〜イ! バンダ〜イ! バンダ〜イ!

猪苗代磐梯高原ICで下りるとすぐに猪苗代湖北岸です。さっきの磐梯山をバックに写真を撮れそうなところを探し、天神浜オートキャンプ場にやってきました。なんとか“猪苗代湖”をモチーフに“いなわの白うさぎ”とか“イナワバウワー”とか、楽しいダジャレフォトを撮りたかったんですが、湖畔に30分座っていても結局考えつかず、仕方がないので猪苗代湖外周55.3kmを軽くジョギングしました(嘘)。


結局考えつかず
 

仕方なくジョギング

まぁとにかく“来た”ってことで目標クリア、本日のメインエイム・喜多方市のラーメン店を目指します。事前にインターネットでいろいろ調べて、やはり最も有名な『坂内食堂』で食べるべきか、いや、それもちょっとちがうか、などいろいろ考えて調べて調べて「うぅ〜ん、だんだんわからんくなってきた、もうテキトー!」という感じで『春月食堂』に決定。普段はもっぱら地図派ですし、今回もここまでの道程は事前に調べていたルートで走ってきたんですが、プリントアウトした『春月食堂』の情報ページにあったはずの所在地図がなぜかプリントされてませんでした。今日はレンタカー、それも『プリウス』ですしカーナビ付いちゃってますから、ちょっとテレながらも使ってみました。余計なことを言わず口数の少ないシックな女性のナビヴォイスでした。そんなカーナビを無視しまくってちょっと遠回り、せっかくなので猪苗代湖北岸をぐる〜っと西へ回るかたちで、途中でっかい観音様の写真を撮ったりしながらの午後13半過ぎ、『春月食堂』たどり着きました。


プリウスと観音様と私
 

昭和な佇まいの『春月食堂』

うぅぅん、イメージ通りの昭和な佇まい。駐車場は裏にあり、車を停めて裏口から入るってのもまた通な感じで旅情静かに盛り上がります。大きく長いテーブル2卓の他に小上がりもあり、地元のおじちゃんがひとりカウンターでラーメン食べてました。普段はまずチャーシューメンは注文しない私ですが、喜多方ラーメンと言うとやはり『坂内食堂』のイメージが強いからでしょうか、ついあの丼全面がチャーシューで覆われたやつをイメージしてチャーシューメンを注文。うん、予想通りのそれが出てきました。スープは和のテイストが強く奥深い醤油風味、麺はやや太やや平打ちやや縮れ。うん、うまい。東京でコレ食べてもさほど唸ることはないかもしれませんが、やはり喜多方に来て食べる喜多方のラーメン、静かながら唸りものです。そしてこのチャーシューがいいんです。豚を食ってる感じと言うかなんというか、そうなんだよ、都会のチャーシューはもうとっくに豚の味なんてしなくなってんだよ、と言いたくなる豚の肉味の濃いチャーシュー。基本的にラーメンには胡椒をかけない元ラーメン刑事の私ですが、この豚の肉味にちょっと胡椒を振りたくなりそうしてみると、うん、正解。香辛料で肉の臭みをちょっと散らす、あの香辛料本来の意味合いを感じると言うか、なにかとっても理にかなった食べ方をしてるような満足感に包まれました。こういうラーメン食べに喜多方に来たかった〜、というダジャレを言いたかった〜。というわけで『春月食堂』、アテズッポにもかかわらず大正解大満足でした。


『春月食堂』のチャーシューメン 700円

はい、というわけでこの日の大目標はおいしくクリア。天気もいいし、あぁ、よかったよかった、いい移動日です。また来るぜ、喜多方。ってゆうかコンサートでこの街に来ないといかんですね。そんなことも思いながら再び会津坂下ICから磐越自動車道に乗り、新潟へ向かいました。


また来るぜ、喜多方

さぁ、この原稿を書いている現在は7年半ぶりの高知公演直前の7月3日午後、高知のホテルです。これから会場に入ります。このコラムがアップされている頃には高知公演も終わり、広島に向かっているころではないでしょうか。高知公演を観にきていただいた皆さま、ありがとうございました。このあと広島→福岡→鹿児島と、西へ南へ移動します。どちらさまもよろしくお願い四万十川。(←高知でコレ書くこと大いに意味あり)

2008/07/04


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No. 001『コンピューターと私』 No. 002『基本はコラージュ』
No. 003『ぺッタコしたなぁ、も〜』 No. 004『逆エッシャー式ジョギング法』
No. 005『そんなにアツくなんなくて』 No. 006『ちょいかけて広島』
No. 007『略されてこそ』 No. 008『ちょっと憧れ、テッペイちゃん』
No. 009『いやんバカ〜ンス、さて何処へ』 No. 010『インドは私を呼んでいたのか』
No. 011『3杯でもフォー』 No. 012『ノスタルジストの大予言』
No. 013『これをムリヤリ音楽に例えるならば』 No. 014『口パク禁止令』
No. 015『もう結構です小久保さん』 No. 016『次はいよいよじゃがいもです』
No. 017『スチュワーデスと私だけ』 No. 018『楽しさの器』
No. 019『素数年男の割り切れない1年』 No. 020『ベン・フォールズを聴く』
No. 021『ETC 〜逆に、すげぇレトロ〜』 No. 022『すみません、私、こっそり出てました』
No. 023『思い出よ、もう一度』 No. 024『ジビエの季節 〜旨いというよりおもしろい〜』
No. 025『ここもまたひとつの東京』 No. 026『オレンジンジャー』
No. 027『お風呂には入れないで』 No. 028『ベランダ・オブ・ドリームス 〜Veranda of Dreams〜』
No. 029『ケタワリカンという発想』 No. 030『平和の使者のその前に』
No. 031『nano についての考察』 No. 032『フランス暴動問題についての考察』
No. 033『2005年を振りかぶって』 No. 034『ピアノ・ソングス』
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No. 039『実況コラム 旭川ジャンクション』 No. 040『氷の世界へようこそ 〜マニアのための中国ガイド〜』
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No. 075『Hop Step Irkutsk !』 No. 076『ピロジェクトX 〜丘の上でピアノが歌った〜』
No. 077『辞書引きレストラン 〜Club Tango 発足〜』 No. 078『写真で見よう! ウラジオストック/イルクーツク』
No. 079『やりきる美学がそこにある』 No. 080『ワインノート』
No. 081『ビリー・ジョエルと私』 No. 082『はからずも富山 episode 1:Black & White』
No. 083『はからずも富山 episode 2:White on White』 No. 084『そんな私の2006年10大ニュース』
No. 085『パイロットとスチュワーデス』 No. 086『チンギアーレ!』
No. 087『インスタントラーメンと私』 No. 088『無人島レコード2』
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No. 091『悩める音楽家たち』 No. 092『鹿児島 指宿 開聞岳』
No. 093『食の現地化を考える』 No. 094『スティービー・ワンダーさんと私』
No. 095『HOME』 No. 096『銀座で靴を買ったのさ』
No. 097『寒かれ暑かれサムソナイト』 No. 098『ワイングラスを買ったのさ』
No. 099『金コラ初! 衝撃のUFO画像公開!』 No. 100『桜は日本人の心なんだよ』
No. 101『29年目の返還 〜さよなら52番街〜』 No. 102『おい、ちょっと松山 〜三脚の魔術師〜』
No. 103『“ばったり5”を終えて』 No. 104『フレンチ・コンサバティヴでこの夏あなたもロワイヤル!?』
No. 105『ハノイ ナウ! Season 1 〜バスに乗る〜』 No. 106『写真で見るベトナム・ハノイ 徹底ガイド』
No. 107『ぷ〜らぷらのボヨヨ〜ンのモミモミ』 No. 108『カスタマイズド・ポカリスエット』
No. 109『カスタマ野郎!』 No. 110『広辞苑をつまみに酒を飲む』
No. 111『あなたたちは騙されている』 No. 112『香港』
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No. 139『From an internet center in Thimphu』 No. 140『ブータン 旅行 写真 ガイド その1』
No. 141『ブータン 旅行 写真 ガイド その2』 No. 142『写真で見る ブータン徹底ガイド その3』
No. 143『トリトメ9th』 No. 144『あいまあいまの大阪日記』
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No. 153『Kiroku Tassei !』 No. 154『旅先なのに日常』
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No. 161『質屋のエレキ』 No. 162『京料理ぶり食い』
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