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Friday Column

No.196

『今オレは野辺山駅にいるんだぞ』

さ、というわけで長野県岡谷市での貴重な1日が終わった翌2月4日(水)の朝、岡谷市で最もラグジュアリーであろうと思われるホテルの部屋で目を覚まします。NHKさんに用意していただいた最上階の部屋は、ひとりで泊まるには持て余してしまうほど広い空間ですが、そんな部屋の角には、なんだか不思議にカーブしたカウンターがありました。


 


どうでしょう、このカウンター。昨晩、荷物を置きに最初に部屋のドアを開けた時には、「ありゃ、なんかの事務所? 間違っちゃった?」と思いましたよ。限られた時間に私はこのカウンターをどう活用するべきなのでしょうか。カウンターの裏側には小型の冷蔵庫が組み込まれていますので、とりあえず冷蔵庫としては機能するんですが、カウンターとしてはいろいろ考えてもうまい活用法が見つかりません。おそらく昔のビリヤード場かマッサージ店かが閉店する時に、まだきれいな状態のまま行き場をなくしたカウンターがこのホテルに引き取られたはいいが、ホテルとしてもどこにも置き場所がなく、ならば最上階のあの部屋に、ということになったのでしょう。

どうあれそんなカウンターに時間をとられてもしょうがありません。私には東京への帰路、立ち寄らなければならない場所が複数あるのです。自慢の高級北欧車にはカーナビなんてもんはついちゃいませんから、事前にインターネットで複数の目的地への地図を検索して、しかしホテルを出るとインターネットはできないので、地図を画像データにして個別に保存、10:45ホテルを出ました。まず訪れるべきは【諏訪湖】です。訪れるといってもただ通って写真撮るだけですけど。中学2年の時ですから1976年でしょうか、1つ上の学年に「諏訪さん」という女性がいまして、バスケット部だったんですけど、顔ちっちゃくてショートカットのキリッとした美人でね、それでもって胸がパツーンと張ってるんですね。ああいうの“鳩胸”って言うんでしょうか、これは中学男子には極めて興奮すべきことであるわけですよ。なもんですから【諏訪湖】という語の響きに私は、ノスタルジックで甘酸っぱいエロスを感じるわけです。だから【諏訪湖】素通りするわけにはいかないのです、写真撮るだけですけど。そういえば最近“鳩胸”って言葉、聞かないですね。いい響きなんですけどね。次にどこかで「好きな言葉は?」という質問に出くわしたら、真顔でさりげなく「鳩胸」と言ってみます。


甘酸っぱいエロスの湖

そして次なる目的地は【野辺山駅】。旧国鉄駅で最も標高の高いところにある駅、つまり国鉄最高駅が長野県南佐久郡南牧村大字野辺山306の【野辺山駅】なのです。往路、中央自動車道で『小淵沢IC』を通過した時、「小淵沢?・・・ってことは、“野辺山”近いんじゃん」と気づいてしまった以上、元鉄道マニアとしては立ち寄らないわけにはいかない重要な場所なのです。そうあれは小学6年の時ですから1974年でしょうか、後に私の人生初バンド“ザ・ミートルズ”を組むことになる山城辰也ってやつがいまして、こいつが今で言うかなりオタッキーな鉄道マニアでして、その影響で私も鉄道マニアになったんですが。当時の鉄道マニアが何をするかと言うと、まずは鉄道模型、そして鉄道写真、それから切符や駅のスタンプ収集がメインの活動です。切符は必ず実際に乗車したもの、スタンプは必ず自身で押印したものというのが鉄則です。で、その山城が、自身で押した国鉄最高駅【野辺山駅】のスタンプを私に自慢げに見せびらかしていたのです。すごく悔しい思いでそのスタンプを見つめながら私は、「ちっきちょー、大人になったらオレも野辺山駅に行ってやる」と心に誓ったのです。そして私は大人になって、ついに【野辺山駅】のスタンプを押す日が来たというわけです。



諏訪ICから中央自動車道にのって24kmを激走すると『小淵沢IC』。料金ゲートの職員さんに「野辺山は右ですよね」と聞くと「野辺山は右だけど、遠いよ。清里の先ね」と教えてくれました。「遠くったってへぇっちゃらさ、だって元鉄道マニアなんだもん!」とは言いませんでしたが、「清里」と聞こえちゃった以上は「清里」にも立ち寄ることにして右折しました。しばらく行くと【道の駅 小淵沢】というのがありました。去年のラッキーラクーンナイトで一緒に演奏したMilcoの菅原龍平くんは“国道マニア”で、「最近は“別冊 道の駅”とか読んでますね」と不思議なことを言っていたのを思い出しました。よぉし、ならばオレも国道マニアじゃないけれど立ち寄っておこうと車を停めました。【道の駅 小淵沢】の建物の中にはこの地の特産物販売店やらカントリーレストランやらパン工房なんかがありました。別にこれといって買うものもないので、とりあえず“来た”ということでスタンプを押しました。そこで私はたいへんなことに気づいたのです。「こぶちざわ」だとばかり思い込んでいた「小淵沢」は、実は「こぶちざわ」ではなく「こぶちさわ」だったのです。あぁぁ、オレは何をやってたんだ。小学生の時からこれまで40年近く、私はずっとそれを「こぶちざわ」だと思い込んでいたのです。これは「肉体疲労時の栄養補給」を「肉体疲労児の栄養補給」と思いこんでいたどころではない大錯覚です。そうか「こぶちさわ」だったのか。まぁ、それがわかっただけでもここに立ち寄った意味はあったというものです。外に“足湯”ってのもありましたが、冬はクローズでした。そりゃそうでしょう。というわけで次は【清里駅】を目指します。


 


八ヶ岳高原ラインをくねくねくねくね約20km。路肩に雪は残るものの、平日の昼間ということもあって車は少なく、途中で八ヶ岳をバックに写真など取りながら快適に走ります。ほんの30分も走らないうちに『清里駅→』の看板が現れ、ローカル線風情100%の踏切を渡って左に折れるとJR小海線【清里駅】です。ところで私はなんでここ【清里駅】に立ち寄ったのでしょう。さっきの料金所の職員さんが「清里の先ね」と言ったから、ただそれだけなんですが、まぁいいじゃないですか。こんな時こそ予期せぬステキな出会いがあったりして・・・。そんな意味不明の期待もキレイサッパリ消えてなくなるほど清里の街はコンプリートリー・シーズン・オフ! 駅前は次のオンシーズンに向けて全面的に工事中。いるのは工事関係者の方だけでした。まぁいいじゃないですか。とりあえず、スタンプだけでも押しておこうと駅舎の中に入ってももちろん人はいません。スタンプ台とインクパッドはあるもののスタンプはありません。窓口の奥には駅の職員さんがいたので窓を叩いて呼びました。あ、しかし昼休みの職員さんは食事中、ラーメンらしきものを食べています。私が職員さんだったら「ラーメン食べてる時に呼ばれんのがいちばん困るんだよなぁ」と無視するところですが、よく見るとつけ麺だったようで、さっさと出てきてくれました。「あのぉ、スタンプを・・」というと「はい、どうぞ、あそこで押してください」とスタンプをくれて、スタンプ台の上で押してすぐ返そうとした時には、職員さんはすでに机に戻ってつけ麺たべてました。「どうも、ありがとうございました」ってことで、次は今日のメイン目的地【野辺山駅】に向かいます。





国道141号線に出て県境を越え、お、そうか、小淵沢も清里も山梨県だったのね、と今さら気づきながら長野県に入り12:30、ついにたどり着きました、標高1,345m67、国鉄最高駅【野辺山駅】。1983年に改築されたチャペル風の駅舎はちょっとイメージ外ですが、まぁいいじゃないですか、国鉄最高駅であることは変わらぬ事実です。駅舎に入ると真ん中に大きなストーブがあってベンチがひとつ。セーラー服の下にジャージを履いたなんとも素朴な女子高生が本を読んでました。なので駅舎内の写真はちょっと撮りづらかったので、ホームに出て記念の写真をバシバシ撮って、念願のスタンプを押しました。


 


 



「どうだ山城、今オレは野辺山駅にいるんだぞ、そしてスタンプを押したぞ、わぁ〜っはっはっはっ」と心の中で思いましたが、でもきっと山城は「でもアンタ、駅に行っただけで小海線には乗ってなかろうが。オレは乗ったばい」と言うんだろうな、ちきしょー。よぉしわかった、乗ってやろうじゃないか。と思って時刻表を見ましたが、あららら、1輛のワンマンレールバスが次にやってくるのは上りも下りも70分後。うぅぅん、わざわざ来たからここで70分時間つぶすって手もなきにしもアラブでだが、そうすると次の小目標である“山梨県でラーメン”の時間が大幅にずれ込むしなぁ。まぁいいか、実際に山城にけしかけられたわけでもなく、自分の頭の中で山城がこう言ったらヤだなと思っただけなので、ここで無理して乗る必要もないっちゃないのだ。ということでさっさと退散することにしました。上りも下りも次にやってくるのは70分後だというのに、あのセーラージャージの女子高生はこの駅舎内で静に本を読みながら待つのでしょう。都会生活者には考えにくい時間感覚です。まわりにマックもスタバもなさそうなこの近辺の高校生にとって、でっかいストーブのある駅舎はあったかくて落ち着けるイイ感じの図書館がわりなのかもしれません。



さ、今日の大目的はこれで終わり、あとは山梨県でラーメンを食べて東京に帰ります、っつったって結構な距離ですが。朝ホテルで山梨県のラーメン店をネット検索したら結構いろいろ出てきました。しかし、これまでの私にとってなんもひっかかりがない土地なもんで、どこで食べるべきか決め方がわかりません。こういう場合にランキングってのは便利です。『山梨ラーメンランキング』みたいな個人のページは複数あり、その中で上位に位置するのが山梨県中央市の『とんとん』。写真を見ると透明スープに極太麺、あまり他にない感じでなかなかうまそうです。ということで『とんとん』を目指します。

野辺山駅を離れ国道141号線を南下する道中、演歌歌手の藤あや子さんの【Gallery 彩】なる看板が目に入り、少し興味を持ってしまいましたが、気持ちを押さえてスルー。長坂ICから中央自動車道にのり、双葉JCTから中部横断道に入って増穂ICで降りて、釜無川・笛吹川を一気に渡って国道140号線を甲府方面へ行く途中に『とんとん』はあります。ネットの地図では国道沿いにポイントされているものの、やっと見えてきた『とんとん』は、国道脇の低くなったところにあり、見えたはいいがどの道をどうやったらそこに行けるのかがわからず、結局あっち行って折り返してこっちでUターンしてやっとたどりつきました。が、しかし、「準備中 夕方五時ヨリ営業」の板が立てかけられてました。準備中っつってもまだ店内にはお客さんがいっぱいいたので、言えば食べさせてくれんだろうとドアを開けると、すかざず「終わりなんですよ〜」と笑顔でバッテンポーズされました。まだ14時前だというのに、マジすかミステリーツアーです。しかし「わざわざ東京から長野経由で食べに来たんですよ」と言ってみる勇気もなく、またそんなこと言ってお客さん全員に大注目浴びてもいやなので、アッサリ引き下がりました。


いつかまた来るからな

アッサリ引き下がるわりには変なとこで意地になるタイプでもある私は、どうしてもここ山梨県でラーメンを食べなければならないのです。そんな時のために準備していた第2候補は山梨県上野原市の『やまさん』。一応電話で営業してますよねと確認してそっちに向かいます。途中【道の駅 とよとみ】ってのがあったので無意識に寄ってしまいましたが、よく考えりゃ『道の駅』というものに興味などほとんどなく、『とんとん』にフラれた直後だったのでスタンプ押す気にもならず、ホーニョーだけライトにかまして再出発。甲府南ICから再び中央自動車道にのり上野原を目指しますが、なんとなくすぐ近くと勝手に思っていた上野原ICは39kmも先でした。そんなことに今さら驚いても仕方ないのでひたすら走り、上野原ICを降りて、中央本線の鉄橋の下をグルッと回って15時過ぎ、『やまさん』に到着。夫婦タヌキの置物と招き猫が迎えてくれました。なんだかいろんな種類のスープがありましたが、店名のついた「やまさんラーメン」を注文。かなりコッテリの豚骨醤油に中細麺、海苔にナルトに半熟卵に水菜ものってます。たいへんおいしゅうございました。ってことで、再び中央自動車道を走り、東京の家に帰り着いたのは17時前、ざっと6時間の小さなひとり旅でした。


 


はい、たくさんの写真とともにダァーッと書き流してみましたが、いかがでしたでしょうか。いかがでしたでしょうかって言われても、って感じですよね。まぁ、いいじゃないですか。最近の私は何かにつけて「まぁ、いいじゃないですか」ですが、これってどうなんでしょうね。

さぁ、まぁいいじゃないですかなんて言ってる場合じゃない現在の私はすでにバンドツアーに向けてのリハーサル真っぱだかです。かっちょいいステージを作るべくメンバー・スタッフ一丸となって取り組んでますので、必ず必ず観に来ていただきたいと思っていますので、どちら様もよろしくどうぞ。

2009/02/13



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