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Friday Column

No.465

『加トゥしゃんベ』

はぁぁ、6月が終わる・・・。ま、しょうがないか。

4月の旅行の写真を早く皆さんに見ていただきたいんですが、ポジフィルムからのスキャニングは、11本中やっと5本目のカザフスタン・アルマトゥイに差しかかったところで、まだまだ先は長いです。その前に、BAND LIVE TOUR 2014【Think Your Cool Kick Yell Come On!】の思い出しコラムを書かなければならないので、その写真のセレクトとトリミングも始めてはいますが、これはこれでちゃんと書かないといけないですからね、もうちょっと先になりそうです。

で、今、最も皆さんに見ていただきたいのは、タジキスタンの首都・ドゥシャンベで撮って来たワールドワイドダジャレフォトの最新作『加トゥしゃんベ』なんですが、それを見ていただくに、やはりタジキスタンのドゥシャンベというのがどんな街なのか。そこをちゃんと踏まえて見ていただくべきだと思うわけで、しかし、そんなことを言ってると、いつまでたっても見ていただけないことに、柄にもなくイライラしてきたので、えぇい、もういいや。ってことにして、今回ここで見ていただこうと思います。

さて、そもそもなぜタジキスタンなのかというと、それは2011年の5月に行われた、昭和音楽大学の学生オーケストラの皆さんとのコンサート。その中で、私の音楽嗜好のひとつである“国歌”を自ら編曲して、オーケストラに演奏してもらうコーナーを設けました。まずは、最も好きな国歌のひとつである、美しく荘厳なメロディのロシア国歌と、なんとも悲しげな旋律のイスラエル国歌を選び、もう1曲、先の2曲と曲調的に雰囲気の違うものはないかと探していたところ、タジキスタンの国歌をみつけました。ロシア・イスラエルとは違って、この時始めて聴くメロディだったので、編曲するにあたり何度も繰り返し聴きました。そんなうちに、どんな国なのか見てみたいという気持ちになるのは当然のことです。この時点で、6月にアゼルバイジャンとグルジアを旅することはすでに手配済みでしたので、その次の旅行ではタジキスタンに行ってみようと思いました。

そして、いつだったでしょうか、タジキスタンの首都、ドゥシャンベのことを考えていた時、ふと、ドゥシャンベ・・、ドゥシャンベ・・・、ん?、加トゥしゃんべ!!

そうです、私たちの世代の男子に大きな影響を与えた偉大な人物・加藤茶さんのジャパニーズ・トラディッショナル・ギャグ『加トちゃんペ』。

思いついてしまったからには、ワールドワイドダジャレフォトグラファーとしては、それを撮りに行かないわけにはいきません。ということで、タジキスタン・ドゥシャンベ行きを強く決意し、果たして2014年の4月、行ってきたというわけです。

これまで、さまざま都市で数々のダジャレフォトを撮ってきた私ですが、ここでの問題は、ひと目見てそこがドゥシャンベだと認識できるロケーションがあるかどうか、ということ。例えばパリならエッフェル塔、ローマならコロッセオ、エジプトならピラミッド、というような、誰もがひと目でその場所を認識できるロケーションがドゥシャンベにはないのです。だってそうでしょう、ドゥシャンベ、タジキスタンって言ったところで、は? どこ? ってことでしょうからね。11年にアゼルバイジャンの首都・バクーで撮った『バクーでバクッ』の時もそうでしたが、この時はすごく大きなアゼルバイジャンの国旗がたなびく、カスピ海沿岸の公園で撮影しましたが、どうだったんでしょう。そうあれ、大事なことは気、気持ち、気迫です。それは音楽だってそうでしょう。

というわけで、ドゥシャンベ。滞在2日目の4月22日(火)は現地ガイドさんと市内観光です。もちろん、国立博物館とかなんたら遺跡とか、そのようなところも訪れるんですが、私がドゥシャンベに来た最大の目的は『加トゥしゃんベ』という写真を撮ることです。というのをガイドさんに伝えます。が、当然のことながらイマイチその意味を理解できないようです。

大きな国旗がたなびく公園で、三脚にカメラをセットして、カトちゃんのハゲヅラをかぶってメガネをかけてチョビひげつけて『加トゥしゃんベ』、と2本の指で鼻の下を押さえるポーズを決めて撮影を繰り返しているうちに、ガイドさんも、私が何をやりたいのかがなんとなくわかってきたようです。しかし、大きな国旗はバクーの時のようにうまくたなびいてくれません。
そこで、『ドゥシャンベ』と大きく書かれた看板とかボードとか、そういうものがどこかにないものかと訊ねましたが、ガイドさんもドライバーさんも、んんん、なかなか思いつきません。博物館とか遺跡とかを一応まわっている道中も、ガイドさんとドライバーさんは携帯でお友達とかに電話して、「どこか、ドゥシャンベと書かれた場所名はないか」と聞いてくれて、数カ所で撮影を試みました。
ガイドさんはもうすっかりその意図を認識したようで、私がメガネをかけ忘れたままポーズをとっていると、「Mr.キムラ、メガネは?」と指摘してくれる場面もありました。

が、んんん、いまひとつ説得力にかけるというか、良いのが撮れた感触がないまま日没。ガイドさんもドライバーさんも充分に協力してくれたので、「きっと良い写真が撮れてるはずです、スパシーバ」とお礼を言って別れました。

ドライバーのアシュヘルさんとガイドのムザファさん

翌23日・水曜日。前にも書きましたように、デジカメではなくフィルムのカメラで撮っているもんですから、帰国して現像しなければ、どんな写真になっているか確認できません。昨日は数カ所で撮影しましたが、良い感触がないままこの街をあとにすることはできません。

ホテルの前の公園では、なんらかの集会が行われているのか、タジキスタンの国歌が大きな音量で流れています。そういえば夜中の12時、テレビ放送が終わる時もタジキスタンの国歌が流れました。そのメロディを私はフルで歌えるのです。そう、私はタジキスタンにいるのです。そんなタジキスタンのドゥシャンベに私は何をしに来たのかと、改めて自分に問えば、それはまぎれもなく『加トゥしゃんベ』を撮るためなのです。決してあきらめてはいけません。

そんな思いでガイドブックを眺めているとき、あ! 駅だ! と思い立ちます。駅に行けば『ドゥシャンベ』とハッキリ大きな文字看板が掲げてあるはずです。
それがキリル文字であったとしてもかまいません。大事なのは気持ちです。

ということで、単身ホテルを出て市バスに乗って鉄道駅へやってきました。

はい、ありました、期待どおりです。建物の正面にバッチリ【Душанбе】と掲げられています。ガイドさんもドライバーさんも私も、昨日なぜ、“駅”という場所を思いつかなかったのか不思議です。灯台下暗し、ってゆうか、駅下暗し、じゃなくって、なんだろう? ま、とにかく、ドゥシャンベ駅にやってきました。

ここで私は確実に気持ちの籠った『加トゥしゃんベ』を撮らなければなりません。歩く人が私をどう思おうと、その写真を見る人が【Душанбе】を「ドゥシャンベ」と読めなくとも、そんなことは関係ありません。大切なのは“気持ち”です。ベストポジションにカメラをセットして、セルフタイマーで10枚ほど撮りました。

では、ご覧いただきます。渾身の1枚『加トゥしゃんベ』です。

どうですか。自分で言うのもなんですが、いい顔してます。後ろのタジク・ボーイもナイスですね。

今でも私の頭の中では、タジキスタンの国歌と、ドリフの「ババンババンバンバン、はビバのんのん♪」が同時に流れています。そのせいか、作曲がうまく進みません。

そう言えば、同じワールドワイドダジャレフォトグラファーで、ピアニストでもある塩谷哲くん。現在、ヨーロッパツアー中のようです。帰国が楽しみです。

2014/06/27

過去の私の作品 http://www.kimurakan.com/column/cbn398.php
        http://www.kimurakan.com/column/cbn380.php
        http://www.kimurakan.com/column/cbn321.php
http://plaza.rakuten.co.jp/okranogunkanmaki/diary/201107020000/

塩谷哲くんの作品 http://plaza.rakuten.co.jp/salt2008/diary/?ctgy=8



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