No.074
『“座ってポン!”をサラッと振りかぶって』
はい、終わりましたライブツアー『座ってポン!』。各地観に来ていただいたみなさん、ありがとうございました。久しぶりにジャァァ〜〜ンとバンドでやれた喜びと、終わってまった悲しみとであれから5日たった今もまだわんわん泣き続けています。とかなんとか言っちゃってホントのところは今日11:50富山発の飛行機でウラジオストックに飛んでいます、うしゃしゃしゃしゃ。
さて今回は、ライブツアー『Rock on the Chair 座ってポン!』の内容をサラッと振りかぶって第1球投げました低ボール。基本コンセプトとしてはやはり『弾き語りばったり』とイメージをはっきり区別するためにタイトルどおりロック色を強めにイメージし構成しました。といってもロックなナンバーだけで全編つくれるほどそのような曲数はありませんし、あったとしても全編それだったら私もお客さんも疲れちゃうでしょうから、私の鶏レバーではなくレパートリーの中で最もハードなナンバー『WHITE LINE』と最新アルバムの『RED FLAG』の交通違反ハードロック2曲で全体を挟み込む、というのを最初に決めて構成しました。なんつたって5年ぶりですからやりたい曲もたまってましたし、なるべく多くのアルバムからまんべんなくと心がけ、新作を含めてこれまでに発表した14枚中11枚のアルバムからの選曲になりました。どの曲やっても久しぶりってのはとても新鮮で、そういう意味で選曲はさほど悩まず決まったほうではないかと思います。では、演奏者と演奏曲目です。
演奏者
古田たかし:Drums / Percussions / Chorus
西嶋正巳:Electric Bass / Chorus
中野豊:Electric Guitar / Acoustic Guitar / Guitar Synthesizer / Chorus
矢代恒彦:Synthesizer / Organ / Bell Harmony / Melodion / Roland VP-550
KAN:Vocal / Piano / Electric Guitar / Acoustic Guitar
演奏曲目/発表年 収録アルバム
Opening : ODOYA (Zhournalist) /’87 KONCERT (Billy Joel)
01.WHITE LINE 〜指定場所一時不停止〜 /’99 KREMLINMAN
02.ロック試練の恋 /’99 KREMLINMAN
03.いっちょまえに高級車 /’88 Girl To Love
04.だいじょうぶ I’m All Right /’88 Girl To Love
05.カレーライス /’06 遥かなるまわり道の向こうで
06.キリギリス /’06 遥かなるまわり道の向こうで
07.遥かなるまわり道の向こうで /’06 遥かなるまわり道の向こうで
08.東京ライフ(弾き語り) /’89 Happy Title
09.東京に来い(acoustic) /’94 東雲
10.東京熱帯Squeeze(acoustic) /’01 Gleam & Squeeze
11.星空がcrying(acoustic) /’94 弱い男の固い意志
12.REGRETS /’89 Happy Title
13.まゆみ /’93 TOKYOMAN
14.愛は勝つ /’90 野球選手が夢だった
15.DISCO 80’s /’96 MAN
16.RED FLAG(一般道路速度超過) /’06 遥かなるまわり道の向こうで
17.Oxanne 〜愛しのオクサーヌ〜 /’98 TIGERSONGWRITER
18.世界でいちばん好きな人 /’06 遥かなるまわり道の向こうで
19.エンドレス /’06 遥かなるまわり道の向こうで
20.適齢期LOVE STORY 2006+全曲つなげ /’88 Girl To Love
21.50年後も (弾き語り) /’99 KREMLINMAN
今回のライブツアーのオープニングSEは、ビリー・ジョエルのロシア(モスクワ/レニングラード)でのライブアルバムに収録されているグルジア民謡『オドイヤ』を流しました。なぜこの曲かというと、今回の衣装はロシア南部や中央アジア北部地帯の民族衣装をイメージして作ってもらったものだったので、そんなイメージにそぐう曲を探していたところ、意外と身近なところで見つけたというわけです。振り返ると私のコンサートのオープニングに既製の音源をそのまま使用したのは初めてだと思います。
私の登場シーンは94年の“マイケル・弱小”以来の白幕シルエットもの。ピアノの上に立ちロングヘアーで歪んだ音のエレキをぶりぶり弾くが、あんのじょう実際に弾いているのはギターのセンパイ(中野豊)、とバラしたあたりでロングヘアーのヅラが天井に舞い上がります。直後投げ込まれたマイクをカッコよくキャッチして『WHITE LINE』へ。今ツアーのために新規中古購入した【Gibson Flying V ’67 reissure】をMarshallのアンプで鳴らしてマジ弾き。懐かしめのナンバー、新作アルバムからのナンバーの後、アコースティックのパートでは意外な選曲で『東京熱帯SQUEEZE』。これ結構おもしろかったと思います。『DISCO 80’s』のアフロヅラ、『Oxanne』のオッパイパイアレンジは、ともにネタというわけではなく“そういう曲なんで”ということで、今後演奏するときも、なんか特別なモノスゴイコトを思いつかない限り継続してこのスタイルだと思います。
浜田省吾さんのサウンドを研究し追求して作曲・録音した『エンドレス』は、当然のことながら浜田省吾さんになりきっての演奏。賛否両論ありマクリマクリスティですが、私は自信をもって堂々とやりきりました。この演奏を含めて本当の意味で『エンドレス』は完成したのだと思えます。『適齢期LOVE STORY』の後半に、全曲目をダイジェストで一気に演奏する“全曲つなげ”という大技は94年からやっている、今となっては伝統的な演し物です。1曲目からすべての曲をワンフレーズ、時には8小節などつないで作るのですが、毎回そこにじぇんじぇん関係ない他人の曲を紛れ込ませます。今回の紛れ込ませ曲は『マツケンサンバ II』。この曲の偉大さと松平健という器のデカさに感動していた私は「紛れ込ませはマツケンサンバUだ」と最初から決めていました。この曲をコピーするためにCDを買って聴きこみましたが、思っていたよりコード進行が妙にカッコヨク、ちょっと“こっちっぽい”歌とのアンバランス具合が絶妙で、プロモビデオのDVDまでついてたってことで更なる感動に包まれています。
とまぁ、サラッと振りかぶるとこんな感じです。ライブってのは文章で表すのは難しいんで、観ていただけなかった方にどのくらい伝わるかわかりませんが、でも逆に文章で書き表せる程度の内容だったとしたら、そんなにさみしいことはないでしょう。さらに細かいことは後に『北青山イメージ再開発』のほうに書きますんで、お楽しみに。2001年までやってきたライブに比べていわゆるネタ的には控えめな内容だったと思われますが、バランスのいい作りではなかったかと思います。去年からの『弾き語りばったり』をやったことにより歌うことに関する意識もかなり変わりましたし、それが選曲・構成にもなんらかのかたちで影響しているのではないかと後で自分で感じました。また、アコースティックパートを除いて、原曲アレンジになるべく近い形で演奏した曲目が多かったのも今回の特徴ではないかと、これも後で思いました。
次にツアーでお会いできるのは来年『弾き語りばったり #5』です。「え?もう#5だったっけ?」とお思いの方に事前に説明しておきますと、『弾き語りばったり』のシリーズは今後「5→7→11→13→17」と“素数”で展開していきます。なぜってそれは私は“素数”が大好きだからです。いいんですよ、別にどうでも、要は中身ですからね。また、年内にもう一度中国・上海での弾き語りも計画中です。でもって来年の『ばったり#5』の後またバンドでやりますんで、楽しみにしてください。ってゆうか私自身が誰よりも楽しみなもんですからよろしくおつきあいください。
さて来週の『金曜コラム』、冒頭に書いたとおり現在の私は極東ロシア・ウラジオストック→シベリア・イルクーツクに単身社会科見学旅行中ですが、バカンスなのでコンピューターなどは持っていきません。しかし『金コラ』初の試みとして滞在先イルクーツクでインターネットカフェ的な場所を探して、そこでコラムを書いて送ってみようと思っています。うまいこといくかどうかは行ってやってみなけりゃわかりませんし、うまくいったとしてもおそらく“ローマ字コラム”、多少読みづらくなることが充分予想されますが、それもまた滅多にない企画モノとしておつきあいいただければ幸いです。もしインターネットカフェがみつからないとか、送信がうまくいかなかった場合のために、一応“予備コラム”も書いて出発する私ってとってもエライですね。
というわけで、ライブツアーほんとに楽しかったです、ありがとうございました。ウラジオストック→イルクーツクで、今までに考えたこともなかったようなことをいろいろ考えてきます。
2006/10/13
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