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Friday Column

No.222

『伝説の愛機シリーズ YAMAHA RX-11』

さて、世の中お盆ですが、いかがお過ごしでしょうか。お休みだからと言ってテレビばかり見てると、暑さも伝っておかしくなっちゃいますからね。ノリピーと矢田亜希子問題がごっちゃになって、どっちのだんながどっちなんだっけ、くらいでちょうどいいのです。そんな今週の私は、楽しみだった月曜日のゴルフが大雨で中止になってクヨクヨしながら、火曜日はZEPP TOKYOでaikoさんのライブを観せていただきました。えぇ、今回も楽しかったですよ。よく歌い、よくしゃべり、よく考えられたステージで、客さんもノリ過ぎでしょう、それ、ってくらい楽しいライブでした。みんなに愛されてクルクルまわる素晴らしいアーティストです。

で、私は曲つくってます、はい。まだレコーディングには入ってないですよ、デモテープを作ってるところです。今週はそのデモ作りの初期段階、リズムの打ち込みに使っているドラムマシーン【YAMAHA RX-11】について書くことにします。

そのあたりに詳しい方なら「RX-11〜! まだそんなの使ってんのぉ?」とズッコケているところでしょうが、えぇ、使ってますよ、今だに。何しろ“物持ちキング”の私ですからね。バラバラにぶっ壊れて再起不能にならない限りは使い続けるのです。


YAMAHA RX-11

このドラムマシーン【RX-11】を購入したのはまだ大学生だった、たしか1984年。当時やっていたバンド『ANNETTE』のキーボードの田口くんが就職活動のため脱退したのをキッカケに、ライブのキーボードはすべてシーケンサーでやろうということになって、ギターの大村さんと私とでそれぞれシーケンサーを買わなきゃ、ということになり、「よ〜し、それならなんかわかんないけどシンセもドラムマシーン買っちゃおう」とローンを組んで無茶買いしたのが、シーケンサー【YAMAHA QX-7】、デジタルシンセ【YAMAHA DX-7】、そしてこのドラムマシーン【YAMAHA RX-11】です。

価格はたしか128,000円、いや158,000円だったでしょうか。とにかく【QX-7】と【DX-7】とで購入総額40万円台。仕送り&アルバイトでやりくっていた大学生にとっては無茶買い以外のなにものでもありません。今の私に換算すると、ランボルギーニの上にポルシェのっけて両腕にブルガリの時計して首都高環状線内回りを激走ってるようなもんです。意味がわかりませんが、とかくそのくらいムチャクチャな買い物だったのです。しかも、その2年前には800,000円もする電気ピアノ【YAMAHA CP-80】を買い、そのローンがまだまだたっぷり残っている状態での更なるローンですから、もうポルシェがのっかったランボルギーニの後部座席に現金3億円詰め込んで火ぃつけて首都高環状線外回りを逆走してるような、そんなオシリメツレツな状態だったんだと、今あらためて振り返ります。

「オレはスターになるんだぜ!」という意味不明の勢いだけで乗り切ってたんでしょうね。月々いくらくらい払ってたんでしょうか。支払いのために毎月『丸井』でキャッシングしてたような時期もありました。そんな『丸井』でのエレベーターで、アルフィーの坂崎さんを見かけた時は、「あ、この人だってキャッシングしてるんだ」と勝手に決めつけて勝手に安心したりしたこともありました。

さて、なにがどうあれ【YAMAHA RX-11】、具体的にはどのようなマシーンかというのをおおまかに御説明します。



本体下部の16個の黒いボタン「Snare1」「Snare2」「Tom1」「Tom2」「Tom3」「Tom4」「BassDrum1」「BassDrum2」「HiHatOpen」「HiHatClose」「RideCymbal」「CrushCymbal」「Cowbell」「RimShot」「Shaker」「Clap」、これらを指で叩いてリズムを打ち込んでいきます。「Snare」「BassDrum」などは微妙に異なる複数の音色から選択することもできます。「ドッタンドドタン」や「ドドタトタカトンタン」というふうに1小節毎に“PATTERN”をつくり、それらをつなげて“SONG”を作ります。“PATTERN”の打ち込みはクリックを聞きながらのREAL TIME WRITEと、拍数を分割した数字をたよりに打ち込んでいくSTEP WRITEの2方法があり、私の場合はほとんどREAL TIMEで打ち込みます。もちろんモノによりますが、1曲だいたい80〜100小節で、30〜40のリズムパターンを作ってつなげます。



御覧のとおり、横細の液晶画面に表示されるのは、アルファベットか数字が最大16文字だけですので、打ち込んだ“PATTERN”を“SONG”に構成するには、パターン表を別途作成しなければなりません。そこで登場するのが“大学ノート”です。

リズムパターンを打ち込みながら、小節番号とパターンナンバーをずら〜っと書いていき、この表を見ながら“PATTERN”をつなげて“SONG”を構成します。最初から小節番号が書かれているファイルを作っておいてコピーして使ったりしてはいけません。毎回、リズムを打ちはじめる前にいちいち01〜120までの小節番号を手で書くのもこだわりのひとつ。そういう作業にかかる“気”も最終的に作品に出ますからね。いや、これホントです。



そして、この作業において、シャープペンシル・消しゴム・定規と並んで重要なのが、下敷きです。これイイでしょう、『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』。デビュー当時、ポリドールレコードでこっそりちょうだいしてきたものです。番組関連のレコードの販促グッズだったんでしょうね。ちなみに私は中村由真ちゃん派です。これとは別に長嶋一茂さんのジャイアンツ時代の下敷きもあり、これら2枚を曲調によって使い分けています。


スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇

話を戻します。で、“SONG”データが出来上がりました。昔はだったら4chのカセットレコーダーにそのまま録音していましたが、現在はちょっと違います。まず【RX-11】で作ったリズムのデータを【Digital Performer】というシーケンスソフトに取り込んで、そのリズムデータを基本にして、その上にベース・ピアノ・なんだかんだを重ねていきます。この【Digital Performer】での作業は“録音”ではなく、あくまで演奏データの作成です。【Roland SC-8850】という、いろんな音が入ってる簡易音源でとりあえずイメージに最も近い音色を鳴らしながら打ち込み作業を進めます。このへんの話はややこしいので、また別の機会に。


【Digital Performer 5】の疲れる画面

という感じでやってます。どうですか【YAMAHA RX-11】。これまで私が発表しきた160数曲のほとんどのデモ音源はこの【RX-11】が基礎になっていますし、また、発表された打ち込み楽曲のドラムデータの大元が、この【RX-11】のデータであるものも多くあります。データは使いますが、なんせ80年代のドラムマシーンなので、音がどうしてもショボイのはいなめなめなめなめませんから、本レコーディングでは優秀なマニピュレイターさんに最新の機材でドラムの音を作ってもらって録音しています。

たぶんネットのオークションなんかで探したら、何百円とかそんな値段だと思われる、今となっては化石あつかいの【RX-11】ですが、84年当時は最先端の機材でしたし、今でもベーシックリズムを作るにはたいへんに使いやすい名機です。これを使い続けるってところにお金に換算できない大きな価値を感じていますし、逆にあえてお金に換算するならば、とんでもなくモトとってるんじゃないかと思われます。そういう意味では「若いうちは無茶してなんでも買っちゃえばいいんだよ」ってことが断言できます。

では、最後にクイズです。
私が発表した打ち込み楽曲の中に、この【YAMAHA RX-11】のリズムデータだけでなく、内蔵音源をあえてそのまま使ってレコーディングした曲が、1曲だけあります。その曲とはなんでしょうか。

1.車は走る
2.おしえておくれ
3.東京熱帯SQUEEZE
4.SAY YES

正解は来週の『金曜コラム』で。

2009/08/14



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