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Friday Column

No.042

『予備校を選ぼう』

先日、東京・青山の青山学院大学の前を通ったら、ちょうど入学試験が終わった時間だったようで正門前に受験生がどばぁ〜っとあふれてました。今から25年前、1981年の同じ頃、私も青学の経済学部を受けたことをふつうに思い出します。試験官の女性が“竹内まりあ”さんそっくりで、なんかわかんないけど“青学”って感じでやたらイメージよかったです。とはいえ英語の長文問題で【Egypt】という単語の形容詞型は何か、なんて問題だされちゃったら「エジプト〜?、はぁぁぁ、わからん・・」とシンミリしたものでした。いろいろ考えたところでわかるわけもなく、思いっきりアテズッポで【Egyptic】とか書いたような気がします。まぁそんな感じであっさり落っこちましたけど。イメージだけで【Egyptian】という単語をあみ出すには当時の私はまだまだ経験不足でした。

あの頃の合格発表は、指定日に学内の掲示板に合格者の受験番号が貼り出され、それを見に来ないと合否はわからなかったもんですから、地方から東京にやってきた受験生が発表日まで滞在しない限りは、在京の知り合いに見てもらって電話してもらっていたわけです。なので入試終わりの校門前には「発表日に合否を確認して電報を打ちますよ」という“電報屋”みたいな人がうろうろしていました。私は頼んだことがないのでわかりませんが、聞いた話によると1件1000円。まぁ、ちゃんと電報打ってくれるんだったら決して高くはないでしょう。しかし、世の中には悪いやつがいるもんで、地方からの純朴な受験生に受験番号と住所を聞いて「あぁ〜、九州はねぇ高くなっちゃうんだよねぇ〜」となぜか2000円とって、発表日がすぎても音沙汰なし、なんてこともあったようです。そんな電報屋も今となってはもう存在しないでしょう、インターネットで合格発表が確認できる大学も数多くあるみたいですから。

2月中旬あたりから新聞のテレビ欄まわりに予備校の広告をよく目にします。ちゃんと見てみるといろんなタイプがあっておもしろいですよ。

“私は、駿台。”というシンプルなキャッチコピーに、清楚で可憐で聡明なブレザー美人高校生をメインキャラクターにした【駿台】。男ってのはホントにバカな生き物で、写真のこの娘は広告のためのモデルさんだ、と頭では理解しているはずなのに、でも脳のどこかで「この娘といっしょに机並べて勉強できるんだ」って思っちゃってるんですよね。40過ぎたおじちゃんだって、大学落ちたての18歳クンだってそのへんは全く同じです。“私は、駿台。”って言われたら“ンじゃ、ぼくもスンダイ!”と迷わず即決です。

“なんで、私が東大に!?”というキャッチコピーで、前年度、東大に合格したお嬢さんが明るい笑顔で合格通知を持って小さく写っているのは【四谷学院】。“まさかの学力アップ”ってことなんでしょうけど、内容を読んでみると、合格に必要なのは「理解力」と「解答力」、それが四谷学院だけの『ダブル教育』。ってことらしいんです。まぁ、ごく普通のことにしか聞こえないんですけど、どうなんでしょう。『何が合否を分けたのか〜ダブル教育の証言〜』というビデオが無料プレゼントってことなので、見てみたい気はしますが。

すごく若い先生なのか、妙に落ち着いた浪人生なのか、23歳なのか19歳なのか重要な狭範囲内で年齢不祥の女性がメインキャラの【一橋学院】。“いちばん行きたい大学へ。だから一橋学院”とコピーは比較的普通なんですが、女性の下に並ぶ売り文句が微妙です。「少数指導ゼミ」「学力段階別授業」はわかるとして「スーパー自習室」ってなんですか? 受験に関するあらゆる書籍・グッズが揃い、また“受験コンパニオン”のお姉さんが「がんばってっ!」となにかにつけて吐息まじりで励ましてくれたりする夢のような自習室なのか。それとも、机も椅子も窓もなく、ただ単に自己を超越するという理念に基づく極めて東洋的で精神的な空間なのか。どっちにしろ、このメインキャラの女性は先生なのか浪人生なのか、23歳なのか19歳なのか、というところに立ち戻ります。

大ウケは【Z会】。“入ってくれ!京大相撲部!”というキャッチコピーの下に、勉強はできそうだけどどう見ても相撲は弱そうな京大相撲部員でZ会OBの崎山くんと川崎くんが「京大」と書かれた白いまわしをしめてカメラ目線でポーズをとっています。で、その下に“入るためには、まずZ会に入ることから。”というフォロウィングコピー。一見意味不明に見せかけておいて、よく読んでみるとなるほどね、というこのまわりくどくてちょっとおもしろい感じ、私は大好きです。“本番に強い実践力。”というコピーと、どう見ても弱〜い2人のコントラストもグ−。

とあのテこのテがいろいろある中に、ひときわ硬派な広告を出すのは【代々木ゼミナール】。“志望校合格へ!かんばれ受験生。”と飾り気ゼロのキャッチコピーで、イメージキャラクタ−など存在しません。入学説明会、春期講座、個別指導スクールなどの要項が整然とレイアウトされたこの広告、「そうだよ、だって勉強しに行くんだもんな」と謙虚な初心に呼び戻され、他の予備校が急にちゃらちゃらして見えてきました。

そういう目で見てみると資料請求のフリーダイヤルの番号だってそうです。【駿台】は「552418/ゴーゴーニューシトッパ」、【四谷学院】は「428255/ヨツヤニゴーゴー」、【一橋学院】は「184550/ヒトツバシゴーゴーオー」と一様に“ゴーゴー”というゴロで煽ってくるのに対し、【代々木ゼミナール】は「403894」、覚え方のゴロ表記もなし。せっかくなので無理矢理ゴロを考えてみましたが「潮見櫓よ」くらいがせいぜいで、ってゆうか必要ないっしょ、そんなの、本当に必要であればゴロなどなくても電話しますよ、といった趣です。

とまぁ、いろんな予備校広告がありますが、どうでしょう。例えばあなたが今年受験に失敗したとしたら、どこの予備校を選びますか? 私?私は【駿台】ですよ、最初に言ったとおり“即決”です。そりゃそうでしょ、ねぇ。しかし【駿台】に行くには、その前に一度大学を受験して失敗しないといけませんからね、道のりは長いです。(意味不明)

というわけで次なる受験へ向かう皆さん、ファイト、オー!カモ〜ン、ユニバーシティ〜!

※参考までに < http://www.sundai.ac.jp/yobi/


受験生であふれる青学正門(私の車窓から)

※「NO.040」クイズの正解は、1.Fabbrica Italiana Automobili Torino(ファッブリカ・イタリア−ナ・アウトモ−ビリ・トリ−ノ)=「トリノ・イタリア自動車工場」でした。

2006/03/03


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