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Friday Column

No.043

『頭ん中がチェリーでグヂャグヂャ』

スピッツの「チェリー」をカバーする。
「え、なんでまた?」ですよね。どのような企画のもとに私がスピッツの『チェリー』をカバーするかは、これをお読みいただいた後にFM802のサイト内【ACCESS】を御確認いただくとして、私のこれまでのカバー歴を振り返ると、好きな洋楽をライブで演奏したことは何度もありますが、邦楽をしかもちゃんとレコーディングするのは初めての事です。

そんなわけでスピッツのアルバム『インディゴ地平線』を買ってきて、なにしろ繰り返し繰り返し聴いてます。いい曲です、ってゆうかいい曲だって知ってたからこの話お受けしたんですが、いやぁすごくいい曲です。ここんとこ2週間以上、もう100回は聴いていますし、こんなに他人の曲を反復して聴くのは初めてのことですが、飽きない。

このコラムが掲載される直後からレコーディングに入るのですが、どのようなアレンジで取り組むかというと、私は基本的に“オリジナル至上主義者”なので、過去に洋楽をカバーしたのと同様に、原曲の雰囲気をなるべく損なわぬようにベーシックを作ります。イントロからワンコーラスおわりくらいまではほぼ忠実にコピーするイメージで進んで、まずスピッツファンの皆さんに好感を持ってもらっておいて、中盤から後半にむけてぐいぐいとKANテイストを繰り広げる、という構成でいこうと思うわけですが、ここで問題になるのは“KANテイストとはいったい何か”ということなんです。

私の場合、あれやこれやといろんなタイプの楽曲を作ってきましたし、また尊敬する多くの音楽家から受けた影響を素直に自身の楽曲に練り込み、“スティービー・ワンダー風”“ビリー・ジョエル式”などと明言しながら発表してきた作風が多いこともあり、“これぞKAN”といったサウンドカラーというか、パッと聴いただけで“あっ、KAN?”と判別されそうなわかりやすいオリジナリティみたいなものが未だないんです。まぁそのようなものを欲しいと思ったこともないのでそれはそれでいいんですけど。

初めて他人の曲をカバーレコーディングする今回、それは「スピッツ」というバンド、「チェリー」という楽曲の素晴らしさを保持しつつ、そこに“うぅ〜ん、KANだ”という何かを注入した作品に仕上げなければならないという、よ〜く考えたらエラく難し〜い問題に取り組むわけで、また特に私の場合、物事を難しく難しく捕らえて考え込む性質もあいまって頭ん中がチェリーでグヂャグヂャになってたりもするんですが、それでもめげずに考え抜いたアレンジ案を発表しますと、ほとんど表沙汰にはなっていない私の隠し武器である“大胆なストリングス・アレンジ”を施すことがひとつ。なにが“大胆”かというと、歌のメロディーにジャンピングボディアタックする感じのライン作りとでも言いますか、作曲者と編曲者が異なる場合には実施されることはまずないストリングスアレンジです。かといってむやみにボディアタックするわけではなく、歌メロはもちろんその他の構成音の和声も考慮して、ここだというツボにピッと針を刺しながらのジャンピングアタックと言うか、例えればそのようなもので、これはエラく神経質かつ体力を消耗する作業なんですが、そのぶん上手くいった時の達成感は格別です。過去の作品では『Close To Me』『こっぱみじかい恋』『明るいだけのLove Song』などをお聴きいただくとストリングスのボディアタックぶりがよくわかるかと思います。

でもそれだけでは記念すべき初カバー作品としてはまだ足りないってことで考えたのが、「チェリー」が収録されているアルバム『インディゴ地平線』の他の収録曲の印象的なフレーズを切り取って「チェリー」にコラージュする=“チェリコラ”です。できればアルバム収録全曲のなんらかのフレーズをコラージュしたいってことで、アイディアは余分に用意してスタジオに入りますが、こればっかりは実際にやってみないことにはどうなるかわかりません。上手くいったらかなりおもしろいことになると思います。という感じで今回の「チェリー」はほぼ“頭で作るアレンジ”になりますが、それはある意味“KANらしい”方法ではないか、とも思います。で、最大の課題は“うた”です。はい、わかってます。

そんな「チェリー」、大阪のFM802の企画ですから基本的にはFM802か、企画に関連する「着うた」などでしか聴けないわけで、現在製作中の私の新アルバムにももちろん収録はされません。しかし、じっくり時間をかけてきっちりレコーディングする作品ですから、いつかなんらかの形でちゃんと聴いていただけるようにしたいと思っています。しらばっくれてシングル切っちゃったりなんかしちゃったりなんかシティバンク青山支店。

ちなみに「チェリー」の作者・草野正宗くんとは5年ほど前、深夜の大阪で一度挨拶を交しただけですが、実は同じ福岡県立城南高等学校の卒業生でして、そういう意味で城南高校的には特別な音源になるわけで、狭い話のようですが狭いからこその重要性を勝手に感じながらスタジオに入ります。完成品を御期待下さい。


2006/03/10


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