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Friday Column

No.025

『ここもまたひとつの東京』

というわけで、前回のコラム No.024 のクイズの答えは「2.なぜか、ある映画にちょい役で出る。その撮影。」でした。その撮影で私は今、大島にいます。その映画については、映画製作側の情報解禁日を待ってお知らせしますが、まだもうちょっと先になると思います。

さて、せっかく大島に来ているのだから、今回のコラムは大島のことを書こうと思っていましたが、撮影という仕事で来ている以上、ゆっくり島めぐりをしている時間はありません。しかし天候に左右される屋外撮影はやはりなかなかスケジュール通りには進まないようで、さぁこれからってとこで雨が降りやむなく中止になったり、待ち時間もえらく長いです。とはいえ呼ばれたらすぐにいけるようにスタンバイはしているわけですから、やはりゆっくり島めぐりというわけにはいきません。

大島に来て3日目。午後3時までは私はフリーということになり天気もよかったので、今だ、ってことでカメラと三脚を持って外に出ました。それまでの5食はすべて弁当だったので、とりあえずラーメンでしょうと港へ向かってなんとなく坂を下り、そこにあった普通の中華屋さん「栄楽」でラーメンと餃子。ここ最近は東京のラーメンブームに変に振りまわされる感じにやや疲れがでていたので、ここ「栄楽」の作為のない善良なふつ〜のラーメンが妙においしかったです。きっと、いや、どう考えても競争が激しくないんでしょうね、価格は東京より高く、ラーメンと餃子で1200円でした。でもね、それでいいんです、東京の過剰な競争が異常なんです。ラーメンと餃子をまともに作ったらそのくらいはとらないと割があわないことくらい私は知っています。

貸し自転車でもあったらなぁ、と思いながら歩いていると、元町港の近くであっさり貸し自転車やさん「丸久サイクル」をみつけました。カゴ付きのいわゆるママチャリとナウなマウンテンバイクがあり、どちらも2時間800円。カメラの三脚があるのでカゴ付きを借りることにして千円札を出すと、自転車やさんの奥さんは「じゃ、500円ね」と。「や、でも800円じゃ・・」というと「うん、500円で」と奥さん。わかんないけど「なんかすいません、ありがとうございます」ってことで、ママチャリにのってとりあえず元町港の埠頭でひとり記念撮影。特に目的地はなく、ただせっかく生まれて初めて大島に来たんだから一応コラムのネタくらいは見つけねば、と海沿いの道をゆっくり北に走りました。

公園があって、その公園の一角に露天風呂あって、もう少し行くとなぜかゴジラの首から上だけの石像があって、何度か停まってセルフタイマーで写真を撮って、時々釣り人がいて、台風にやられたのかフェニックスの木がいくつか折れてて、栽培漁業センターってのがあって、そんな感じであてもなくたらたら走っているとやや急な昇り坂になったので、ママチャリでそれはちとキツイかなってことでここで折り返し、でも同じ道を戻るのもつまんないので、左に折れて緩く昇って並行して走る別の道を戻り、自動販売機でファンタグレープ買ってベンチに座って飲んで、ここで初めてこのママチャリは3段変速ギアだったんだ、しかもその一番重い「3」で走っていたんだということに気付き、なんだよおい、ってことで平坦な道を意味もなく微妙にギヤを変えながら走り、貸し自転車やさんに帰ってきたら、奥さんが「あ、どうもねぇ〜。はい、これどうぞ」となぜか小さいパックの大島牛乳をくれるので、「なんかすいません、ありがとうございます」ともらいました。

ホテルに戻るとロビーに撮影スタッフの人がいて、「どっか行きました?」「はい、ちょっと、貸し自転車借りてちょろっとサイクリングに」「なんかありました?」「いや別に、ただあてもなく、なんもなく・・」「KANさんホントすいません、お待たせしっぱなしで」「いえいえ、ぜんぜん。東京じゃこういう時間なかなか持てないですから・・」と階段をのぼり部屋に戻りながら、そこで初めて「・・ってゆうか大島って東京都だよ」ってことを思い出ました。

知ってはいたけど気付かなかった、ここもまたひとつの東京。

ここでなにか結論めいた“いいこと”を書いてこのコラムを締めたい気分、というか、そうするべき流れなんですが、いかんせん自転車で小1時間走った程度じゃ、たいしたことは浮かびませんし、そんな筆才も持ち合わせてないので、「大島に来て自転車を借りて走って帰ってきたら大島牛乳をもらった。」という素晴らしい事実だけをここ報告して、また、私が時々書く“東京”とは東京都全体を差すのではなく、“東京中心部の私が普段行動しているエリア”のことなのよね、ということを確認して、今回はおしまい。 ほな、サイババ。


あてもなく なんもなく
 

大島牛乳 ありがとう
2005/11/04


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