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Friday Column

No.013

『これをムリヤリ音楽に例えるならば』

※ このコラムはツヅキモノです。「No.012」からの流れでお読み下さい。

先週書いた“プロデュース系”のラーメン店が小反響、「それはどこのなんて店だ、教えろ教えろ」と友人知人からの個人的な問い合わせが結構あったんで、今度そのうちそんな人たち集めて“プロデュース系・味巡りツアー”でも組んで、みんなで虚し〜い気持ちに浸るなんてのも楽しいかな、なんてことも思ったりしました。まぁ、やりませんけど、集まんないだろうし。

そんな、作り手の顔が見えない“プロデュ−ス系”のラーメン店でラーメンを食べている後半に押し寄せる虚しさ、これをムリヤリ音楽に例えるならば、なんだか凄いセットのステージに、歌は聞こえどボーカリストはどこにもおらず、揃いのカッコイイ衣装のアテ振りミュージシャンが軽やかなステップで大音量で流される音にあわせて演奏しているフリを見ながら、とりあえず下からガンガン突き上げてくる強いビートに合わせてこちらも踊るしかない、そんな感じ。これを“音楽”として考えると、ね、なんだかすごく虚しいでしょう。でもこれをひとつの低料金なアトラクションと思えば、別にどうだっていいか、とりあえず楽しけりゃ、ってことにもなるんですが。

音楽好きはそれを“音楽”としてとらえたがるように、ラーメン好きはラーメン店に入った以上、それは“ラーメン”としてとらえたい、それ故に味わう虚しさだったりするわけです。さぁ、なんだか言ってる意味がだんだんわかんなくなってきましたね。書いてて自分でも難しくなってきました。

さて、そんなこんなの3週間半前、STVラジオ『KANのロックボンソワ』の収録がてら立ち寄った北海道は富良野市のラーメン店『三日月』。昔ながらの食堂ののれんをくぐり席に着き、メニューをひと通りながめて“しょうゆ”を注文、食べました。なんやかんや理屈をこねながらも最近のインパクト重視の流行りのラーメンに身体が慣れてしまっている私にはこのしょうゆラーメン、食べ始めに“ちょっと弱いのかなぁ?”と感じましたが、食べ進むうちにそれは筋違いもはなはだしいナンセンスな発想だということに気付きます。

これをムリヤリ音楽に例えるならば、それは『上を向いて歩こう』『いつでも夢を』。そんな、激動の昭和の時代にがんばってがんばって今の豊かな日本の基盤をつくってくれた世代のみなさんの心の支えとなり、愛され歌い継がれた名曲があります。『三日月』のラーメンもきっと、この街のこの通りのこの角に昔からず〜っとあって富良野の皆さんに愛され、生活の中に長い間ごく自然に存在し続けている、そんなラーメンなのでしょう。『いつでも夢を』や『上を向いて歩こう』といった名曲に敬意を払うことなく、歌詞がどうこう、コード進行がどうこうなどとわかったように分析することなど、音楽家としては認めるわけにはいかないのと同じように、この『三日月』のラーメンの麺がどうこう、スープがどうこうなどと考えながら食べるようになってしまったら、真のラーメン刑事(デカ)とはいえません。

そのように思い直して食べる『三日月』のしょうゆラーメンは、なんとも心安まる美味しいラーメンでした。

そんなこんなの2週間前、思うところあって四国・讃岐地方を訪れました。地元に根付いた“うどん”が食いてぇ、と連れて行ってもらったのは“セルフの店・さくら家”。のれんをくぐると数人のお客さんが並んで、厨房のおかみさんに「ぶっかけ1玉」とか「おろし2玉」と注文し、好みの揚げ物をのっけてお会計して、テーブルにすわって食べています。私もお品書きを見ながら並んで順番を待ち、「はい、なんにします?」ときかれて「えぇ〜っと、生醤油(きじょうゆ)1玉」と注文。さっさっと湯通ししたうどんにネギをちょろっとのっけてくれてハイ100円。「100円すか?」「はい、これ生姜ね、お好みで。テーブルにお醤油ありますからかけてね、赤いほうはピリ辛ですから、ちょっとだけね」と、いやぁ〜このシンプルさ、話には聞いていたものの、なんだかすごく新鮮です。で、これがまた、なんでもないんだけどうまいんですね。うどんにはあまり精通してない私ですが、わざわざここに来てこのシチュエイションですからね、うまいです。

これをムリヤリ音楽に例えるならば、たまたま行った旅先で、その土地に古くから伝わり長く歌い継がれたタイトルも定かでない歌を、地元の長老に目の前で歌ってもらったような、そんな感じです。高音質で録音されたその歌の音源を東京に持ち帰って、最先端の再生システムで聴いたところで、この地の気候風土のなかで聴くそれには勝りっこありません。

と2週にわたって長々と書いているうちに途中だんだんわけがわからなくなってきたりもしましたが、要は、なにが言いたかったかというと、「ちゃんと作り手が丹精込めて作っている感じが伝わってきて、それにはやはりそこでしか味わえない何かがあって、流行りでもないし派手じゃないけど奥深い。 だから、飽きない程度にまた食べたい。」そんなラーメンがうれしいですよね、という話。

これをムリヤリ音楽に例えた時に『それは、KANでしょう』と言われるような音楽家にならなければなぁ、とそういうことが言いたかったわけです。

どうでもいいけど、うまそうでしょう、これ↓

生醤油うどん ¥100
2005/08/12


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