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Friday Column

No.344

『リストゥン・トゥ・ザ・ミュージック』

はい、新シングル『Listen to the Music』、もうお聴きいただいてますでしょうか。ありがとうございます。まだという方は、どうすれば良いのかよくお考えください。ってのは先週書いたはずですが、それでもまだ、どうすれば良いのかわからないという方は、そうとうお疲れなのでしょう。ゆっくりお休みください。というわけで、今週は新シングルについて、いろいろと解説してみたいと思います。今週も長いですのでお時間のある時にお読みください。では、まず1曲目から。

『Listen to the Music』
曲自体は前アルバム【カンチガイもハナハダしい私の人生】のレコーディング時には、頭の中でほぼできあがっていましたが、どんな歌詞を書けば良いのかがまったく思いつかず、そういう場合は無理して書いてもあんま良くはならない、ということを過去にいくつか経験していますので、放置しておきました。・・・という話を取材などですると、それを“熟成”と解釈しようとする聞き手の方が多くいますが、もし、歌詞をすべて書いた状態で、「いや、もっと良くなるはずだ」と思って、あえて発表せずに寝かせておいて、ときどき取り出しては少しずつ手直しを繰り返す、のであれば、それは“熟成”と言えますが、歌詞がなんもついてない状態で、そのキッカケを思いつくまで待っているのは、“熟成”ではなく、単なる“放置”です。曲って、腐んないですから。・・・という説明を取材などですると、では“放置プレイ”ですか(笑)、なんて返されることもしばしばありますが、決して放置することをニヤニヤ楽しんでいるわけでもなんでもありませんので、それを“プレイ”と呼ぶのは的確ではなく、やはり単なる“放置”です。・・ってなことを真顔で語るもんですから、私にインタビューするってのはめんどくさいでしょうね。私はただ、聞かれたことに対してできるだけ正確に応えようとしているだけなんですが。

・・・で、なんでしたっけ? ま、とにかくメロディやおおまかなアレンジのイメージは、少なくとも2009年の秋くらいにはすでにできあがっていました。歌い出しの「Listen to the Music どんなとき?」という歌詞が、意味もなくメロディにくっついた状態での初期発想でしたので、無意識に発想したものはそのまま残すとして、「どんなとき?」って言ったはいいが、オレはいったいどうすりゃいいんだよ、となります。

なんでしょうね、音楽家が「Music」という語をかかげて何かを歌おうとすることに、変な責任でも感じてたのでしょうかね。という感じだったので、【カンチガイ〜〜】への収録はハナっから考えずに放置しました。

その歌詞を今年になってなぜ書けそうだと思ったのかは、自分でもよくわかりません。歌詞ばっかりは何年やってもそんな感じです。ま、なんとなく書けそうな気がして、あくまで語音の響きだけで、部分的に意味もなく言葉をのせはじめます。で、響き的によろしいと思えたものがあれば、同じメロディのところでは、いわゆる韻を踏むのが私の中での常識です。例えば「sorry」で終わるメロディと同じ部分が、「ように」になるのは普通のことです。もちろん「毛利」「料理」「交尾」などの候補は他にいくつもあがります。テーマでありタイトルである歌い出しの「Listen to the Music どんなとき?」については、その語尾だけでなく、1行まるごと韻を踏むべきだ、とも思ったりする私ですから、同じ語音でなんやかんやいろいろ考えて「一瞬ふっと休日とれたとき」にしてみたり。また韻踏みとはちょっと違いますが、メロディ的になんとなく「現実はシャバダバで」がのったとしたら、同じ部分は「本質はバレバレで」になったりもします。

これらは、まだ歌詞の方向性・着地点はなにも見えてない状態で、あくまで響きだけで部分的に埋めた言葉です。そういう作業を繰り返していくうちに、「あ、こういう歌にすればいいのかな」というのがぼんやり見えてきたりします。で、そのぼんやりに向かって、意味もなく響きだけでのせた言葉を残しながら歌詞をぼんやり書き進める。というよりそれは、響きだけでのせた言葉のツジツマを合わせていく作業、と言ったほうが良いかもしれません。という作業をああでもないこうでもないと繰り返した最終結果がこの歌詞、だったりするわけです。そして、この方法は私の作詞の最も典型的なやり方なので、どの曲も、歌詞は“結果論”だったりします。もちろん極稀に例外はあり、作曲以前の段階で、実在する対象人物がいて、その対象を軸に作曲・作詞することもあります。気のこもり方の次元が違うんでしょうか。それらが私の中で“名曲”になる確率は非常に高いと言えます。『まゆみ』『Oxanne』『REGIKOSTAR』などがその類です。だからと言って、がんばって対象人物を見つけて作ってみたら名曲ができる、というわけではないでしょう。そこにはきっとこちらからコントロールできない出会い・巡り合わせがあり、それを大げさに言えば“運命”なのかもしれません。そのような曲でも、実際に歌詞を書くときは、同じように語音感を頼りに言葉を貼り付けていく、という作業にかわりはありません。方向性と完成型のイメージが事前にあるかないかの違いです。

・・・えぇっと、なんの話でしたっけ? ま、とにかく結果としてこの歌詞になった『Listen to the Music』。そこで私は何を歌っているのか。結果論とはいえもちろんそこには思うところや伝えたいことが詰まっていますし、それを表現できていると思いますが、それをここに書いてしまうと、それは、これから曲をお聴きいただく皆さまの解釈になんらかの制限を加えることになるので、書きません。って、書かねぇのかよっ! ここまでの長いヘリクツはなんだったのか、って感じでしょうから、やっぱボクってめんどくさいですね。でも反省はしていませんよ、ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ。だってそうでしょ。これは音楽に限らず、ひとつの作品にいろんな解釈があればあるほど、その作品は楽しく奥深いものだと思いたいからです。

めんどくさいついでにもうひとつ。タイトルの読みですが、普通に考えりゃ『リッスン・トゥ・ザ・ミュージック』ですが、その“普通”とはアメリカ式の発音です。しかし私にとっては、それが“英語”である以上、アメリカ式は普通とは思えません。なので私は英国式に「t」を発音し、『リストゥン・トゥ・ザ・ミュージック』として歌っています。「often」も「fasten」も英国式では「オフトゥン」で「ファストゥン」なのです。アメリカ式が普通である日本に於いて、それを敢えて英国式の読みにする意味があるのか問われると、特にはないんですが、なんかちょっと上品な感じがするじゃないですか。それは暗にアメリカ式より英国式の方が上品だということを言っているのだと解釈されても否定はしません。でも、近年のロンドンの若い人たちは、アメリカ式に「t」を発音しないようになってたりするそうです。でも、国営放送BBCでは今も変わらず「リストゥン」だそうですよ。ま、実際に聞いたわけではないのでなんとも言えませんけど。

さて、レコーディングについての話です。

頭の中では、ドラム・ベース・ピアノでガッチリ出来上がっていて、そこにサックスがぶりぶり咽び泣いてくれれば、あとは余計な音を入れる必要はない。と思っていました。でもなぁ、Bメロではアコギがジャキジャキ鳴ってたいかなぁ、ということもあり、そうしました。ドラムは江口信夫さん、ベースは美久月千晴さん。両名とも最も信頼の置けるプレーヤーで、過去にも多くの作品で演奏してくれています。ピアノを弾いたのは私ですが、それは私の中で最も頼りないプレーヤーですからがんばりました。

アコースティックギターは久保田光太郎さん。秦基博くんの曲のアレンジを聴いたり、ライブやDVDを観たりしていて、一度いっしょにお仕事したいと思っていて、今回実現しました。久保田さんは単にプレーヤーではなく、アレンジ・プロデュースをやる方で、しかもその昔は洋服屋さんだったということもあり、逆にいろいろとアドヴァイスも受けながらのギターダビングでした。また、先に書いたように、余計な音は入れずに極力シンプルに仕上げるつもりでしたが、やはり、なんかひとつくらいはヘンなことやっときたいなぁ、という思いもあり、久保田さんにマンドリンを弾いてもらいました。それも、通常マンドリンでは弾くことのないタイプの、どっちかっつうとバイオリンでやるべきなフレーズをあえてマンドリンでやることによって、シンプルな中にもちょっとヘンなひっかかりを作ってみました。


久保田さんのプレイを興味深く見学する中学生のイメージ

咽び泣くサックスは山本拓夫さん。私の場合はソロのフレーズもすべて書きます。だって、ソロだってメロディですから、そこまでの歌のメロディからソロになだれこんで、また歌に戻って来るんですから、ソロ部分だけ奏者に任せる、という考えは、私にはありません。それはそれでいやがられるひとにはいやがられるんですが、長い経験の中で、書き譜にも快くリクエストに応えてくれる優れた演奏者を知っています。

イメージはビリー・ジョエルさんの70年代の作品にあるようなサックスソロ。ベテラン奏者の拓夫さんですが、この曲は、敢えて20代の若いサックスプレーヤーが「どうですか、上手いでしょう、オレって上手いでしょう」という感じでブリブリ吹いてほしいとお願いしましたので、あえて無理して全編咽び泣きっぱなしで演奏してくれました。中盤のソロはアルトサックスで、エンディングのソロはソプラノサックスです。


大人になったらサックスを買おうと誓う中学生のイメージ

スベルハイレグではなくスレイグハベルではなくスレイベルとタンバリン、コーラスは自分でダビングしました。ちょっと懐かしい感じのハンドクラップは、マニュピレーターの田久保くんの他、現場にいるスタッフさん数名にお願いしました。そんな感じの『Listen to the Music』でした。


銀座山野楽器本店で購入
 

ちょっと懐かしいクラップ

『Christmas Song』
この曲、素晴らしいでしょう、ねぇ。ギルバート・オサリヴァンさんの1974年の作品です。私がこの曲を知ったのは、たしか帰国後の12月だったと思います。STVラジオでの番組で、クリスマスの時期にはふつうにクリスマス関連の曲を選曲しますが、なんだか毎年同じようなのばっかりかけてるよなぁ、ということから、STVの音源資料室でなんかないかなぁと検索していて、たまたま見つけて聴いてみたら、それはたいへんに素晴らしい楽曲でした。今回は発売が12月7日ということもあり、また、この歳になるとそんなにホイホイ新しい曲もできにくいので、この曲をカバー録音することにしました。2月発売だったらどうしてたんでしょうかね。

オサリヴァンさんも私同様に、ポール・マッカートニーさんの大ファンであろうことは、そのメロディからよくわかりますし、また、なんつたってこの歌詞が素晴らしいですね。世界的なスタンダードナンバーである『White Christmas』の「I’m dreaming of a White Christmas」に対して、「I’m not」から入るこの歌詞。クリスマス時期になるとにわかにクリスマス!クリスマス!とみんなが浮き立つことに疑問を持っていたのか、「クリスマスだけじゃない、毎日が穏やかであることを願う」という内容の歌詞。その発想や表現の仕方に強く共感しました。当初、日本語の歌詞を作ってみようかと、トライしてはみましたが、途中で意味ねぇなと思ってやめました。なので、対訳を載せることにしました。

レコーディングについて。それがどんな曲であろうとオリジナルが最も素晴らしい、というのが基本的な考え方の私ですから、オリジナルの雰囲気を極力残しながら、弦楽器や管楽器のアレンジで私なりの作風を醸し出す、というやり方です。オリジナルと大きく違うところは転調部分。オリジナルはDキーのまま最後までいきますが、やはり最後は転調したいなと思い、1音低いCから始めて、最終ブロックでDに転調しました。機会があれば、オリジナルと聴き比べてみてください。

ドラム・ベース・ピアノは『Listen〜』と同じ日に同じメンバーで、“とにかくなにもしない”というルールで録音しました。久保田さんのギターは後日『Listen〜』とともにダビングしました。で、チビッコたちのコーラスですが、すべて英語ですので、英語のしゃべれるチビッコたちをとお願いしました。楽しかったです。そう言えば、99年の『Happy Time Happy Song』の時もバイリンガル・チビッコでした。


小学生とお友達になりたい中学生のイメージ

スタジオに入って来るなり「観ましたよ、観ました、『金縛り』!。いやぁぁぁ、おもしろかったぁ! KANさんサイコー、バッチグー!」と高いテンションだったのはオーボエの庄司さとしさん。フルートは高桑英世さん。お二人とも『ステキな金縛り』のサウンドトラックで演奏し、試写会で作品を観たそうです。オーボエは、その音色・ニュアンスを繊細に表現するために、ふつうのオーボエとオーボエ・ダモーレを部分部分で吹き分けています。それも、音を止めずに流れの中でささっと持ち替えて通しでダビングするという、高度な技でした。


木管楽器の音色に癒されながらも緊張する中学生のイメージ

ストリングスは、今作も桑野聖さん率いるグループ。全体の音数が多いので、1Vln=3/2Vln=2/Vla=2/VC=1という、やや少なめの編成にしました。バイオリンが大きなメロディを奏で、その奥でビオラ・チェロが粋な内声を聴かせるという、私がこれまで比較的多くやってきたストリングスアレンジとはちょっと違って、この曲は、ストリングスとオーボエ、フルートのフレーズが出たり入ったり、編み込むように折り重なって大きな流れを作るという、ちょっとめんどくさいアレンジです。是非、Track_4のカラオケ音源で、そのあたりをお聴きいただきたいです。ベタな話ですが、経費的には『Listen〜』よりも『Christmas Song』のほうが、そうとうかかってます。


やっぱバイオリンだよなぁ、と妄想する中学生のイメージ

チェレスタの音は、田久保誓一くんによるシンセサイザーで録音。スベルハイレグではなくスレイグハベルではなくスレイベルと字ハモは私がやってます。問題は英語の発音ですよね。ネイティブの人が聴いて、ちゃんと歌として聴けるのでしょうか。一応、イメージですけど、ポール・マッカートニーさんの発音を意識しています。例えば「day」を「ヂェイ」っぽく歌ったり、「one」を「ウォン」と歌ったり、「new year」を「ヌーイーェ」と歌ったりするところがそうです。しかし、そんなポールさんも、64年のアメリカ進出以降は、アメリカ式の発音で歌うことを意識していた、なんて話もありますけど。


神経を使いすぎて疲れちゃった中学生のイメージ

あとは、なんですか、ジャケットですね。まず、ブックレットなどが通常のCDとは逆に入ってます。これはギャグでもなんでもなく、ちゃんと思うところがありまして。通常、ジャケット写真の左側にいわゆる帯がつくんですが、ちょっとはぢゅかちぃくらいにポップな色使いでのタイトルロゴなので、この左側に色を置きたくないというのがあり、そこで帯を白にしてみたんですが、妙にさみしくなりまして、写真の右側に赤い帯がくると、全体が締まるんですけどねぇ。みたいな話をデザイナーの太田さんとして、パッケージの工程上可能であれば帯を右側に、ブックレットを通常の逆さに入れればいいんじゃないの、ということでそうしてみました。しかし、プロモーションなどであちこち行ってますと、やはりみなさん一様に、あれ? みたいな感じで出し入れに手こずっていることがわかりました。・・ってことで、正直言って反省してます。ごめんなチャールズ皇太子。ま、買って開けちゃったらもう帯は関係ないですから、お手数ですが、裏面の写真も含めて御自身で入れ直していただければ、と思います。でもね、世の中のほとんどのモノは右利き用にできてますから、左利きの方はいつもこのようなストレスを感じながら生活しているんですよ。ということを右利きの皆さんに味わってもらおうとした。なんてことはありません。なぜなら私はバリバリの右利きなので、左利きの人の気持ちがわからないからです。



で、学生服ですが、これは特に意味はありません。若くてかわいいお嬢さんが「最近、わたし、ボーダーが気に入ってて、またボーダーのセーター買っちゃった♪ むふっ♡」みたいなことと全く同じで、「今年は、夏から、なんとなく学生服なんですよねぇ」というだけのことです。タイトルロゴがカラフルなので、それを活かすために衣装は黒にしました。なんて理由はどっからどう考えてもアトヅケです。でも、なんでなんでしょうね。たとえばスーツ着て写真撮ったって「このスーツにはどのような意味が?」なんて聞かれることはまずありませんが、それが学生服であるだけで、必ずと言っていいほどその意味を問われます。そのわりに小脇に抱える【Rickenbacker 325】についてはあまり誰も聞いてくれません。さみしいよなぁ。

あ、そう言えば、私のお衣装を“普段着”と言ってくださる方数名に最近お会いしました。が、それはちょっと違ってですね。私の言う“普段着”とは、過去に複数回着用した衣装を着てステージなどに立つ場合に、同一の衣装を複数回観ていただいているお客様に対して「普段着で申し訳ない」と謝罪しているだけで、“お衣装=普段着”というわけではありません。なので、アメフトなんかはもうとっくに“普段着”ですが、アラブ服はおニューのお衣装なのです。そういう意味で言うと、今年の夏に学生服専門のスタイリストさんにお願いした今回の学生服はとても用途が広いこともあり、なにかといろんなとこに着て出てますから、もうすっかり普段着化してしまった、ということです。こんな話、根本要さんにしたら、「どうだっていいよ」と言われそうですけどね。ま、こういうことはキチッとしておかないとね。

それから、CD裏面のピアノ写真は【Bösendorfer/ベーゼンドルファー】というオーストリアの老舗ピアノメーカーさんに御協力いただき、そのショールームで撮影したものです。ピアノが7〜8台ありましたが、デザイナーの太田さんとカメラマンの大川さんと話し合い、やっぱコレじゃないですかね、ということで選択し撮影しました。それは、リスト・フェレンツさん生誕200年を記念して製造されたピアノで、リストさんが活躍した19世紀半ばのピアノを再現したそうです。世界に25台しかなく、今回撮影したピアノには「7/25」と番号が入っていました。その音色はたいへんに優美で、念のために聞いてみたお値段も、それはそれは素晴らしいケタでした。

はぁい、というわけで、新シングル『Listen to the Music』、気に入っていただけたら、繰り返しお聴きいただけたら、と思っています。


ある日の出前はすき焼き丼

さて、唐沢年明けからのBAND LIVE TOUR 2012【ある意味・逆に・ある反面】のリハーサルが始まりました。楽しいです。ここから先の頭の中は完全にバンドツアーモードです。今年はクリスマスもお正月も私にはありませんよ。だって、もう、すぐに来年のクリスマスがやってきますからね。

2011/12/16



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