No.345
『ラー油ってすごいなぁ』
さて、もうすぐクリスマスですが、みなさまはいかがおすごしでしょうか。キリスト教系の国では、クリスマス前から年を跨いで1月の2週目くらいまでは“クリスマス休暇”というひとつの括りですが、日本にはお正月という大事なものがありますから、12月25日のクリスマスが終わった途端に、ハイッ撤収〜っ!てことで、一気にお正月にセッティング替えしちゃう感じがイイですよね。
先日、ラジオの収録で根本要さんと話していた時に、「クリスマスの余韻をもっと楽しもうよ」という意見が要さんからあったもんですから、クリスマス前日の24日『クリスマスイヴ』に対して、クリスマス明けの3日間、つまり12月28日までを『クリスマスイゴ』ということにして、余韻を楽しみながら新年を迎える準備をしましょう。ということに勝手に決定しましたので、よろしくお願いします。また、この考えに御賛同いただける方々を『クリスマスイゴの会』と称し、その略称は『イゴの会』となりましたので、あわせてよろしくお願いします。
さて、唐沢年明けからのBAND LIVE TOURを控えた私をはじめとするメンバー・スタッフは、今年はクリスマスのお正月もなきにひとしく連日リハーサルを重ねています。
そんなある日のお昼前、私がスタジオに到着したら、ベースの西嶋さんが、なにやらコンビニで買ってきたらしきものを食べていました。
KAN「なに食べてんですか?」
西嶋「汁なし担々麺です」
KAN「それは、おいしいんですか?」
西嶋「マズイっす」
KAN「あらららら、いいですねぇ」
西嶋「そうなんですよ。これホントに、ちゃんとしっかりマズいですよ。
なんて言うんでしょうねぇ、とらえどころがないというか・・、
なにを食べてんだかわかんない感じ?・・っていうんですかねぇ」
KAN「じゃぁ、よかったじゃないですか」
西嶋「えぇ、ほんとに」
ここから先は、昔テレビかなんかでたまたま見た話ですが、【担々麺】とは中国四川省発祥の、もともとは汁のない合え麺料理だそうです。汁なし合え麺のお椀をいくつも重ねて天秤棒で担いで、市場などで働く人に売り歩いていたのがその名の由来だということです。こぼれないように汁なしだったんでしょうかね。私は中国では担々麺を食べた事がありませんが、そう言えば、週末の朝だけ開かれる北京の骨董市みたいなとこで、重ねたお椀を天秤棒で担いで売っているのを見たような気がしてきました。
で、日本に中華料理を広めた重要人物のひとり・陳建民さんが、日本人好みに、スープたっぷりのラーメン形式に改良したのが、現在日本で親しまれている“担々麺”なんだそうです。ちなみに、豚肉とキャベツを甜面醤で炒める【回鍋肉/ホイコウロウ】。これも陳建民さんが、安価でボリュームのあるキャベツをたっぷり使ったのが日本での定番になったということです。回鍋肉は中国でも何度か食べたことがあります。北京語の料理名は4文字にまとめられているものが多く、回鍋肉は、その肉が牛か豚かによって“回鍋牛肉/ホイコウニュウロウ”、“回鍋猪肉/ホイコウズーロウ”と区別されます。が、そこにキャベツが入ってるのは見たことがないと思います。
あぁ、なんかひさしぶりにウンチクぶちまけた感じで清々しい気持ちです。
というわけで、先の西嶋さんの“汁なし担々麺”は、日本の担々麺ではなく、本場中国四川省の担々麺に近いひと皿だと言えます。とは言え、ちゃんとしっかりマズイんだったら、よかったですね、って言うしかありませんけど。
そんな会話のとなりにいたドラムの清水さんが「その、ラー油はかけなくていいの?」と言うと、西嶋さんは「あぁ、ラー油ですねぇ。でも、今からかけてもなぁ・・」と言いながら、食べかけ終盤の汁なし担々麺に小袋のラー油をかけて混ぜて食べました。すると・・
西嶋「おっ・・、旨い!」
KAN「えっ、なになに!?」
西嶋「旨くなりましたよ、ホントに! あ、旨い!
なんって言うんですかねぇ、こう、ぼんやりしていたところに、
ラー油をかけることによって、全体がこう・・」
清水「輪郭がハッキリ?」
西嶋「そう、そうですよ。エッジって言うんですか?
味がキリッと見えてきた感じ?」
清水「やっぱ、ラー油なんだよなぁ」
KAN「なるほどねぇ」
西嶋「うん、ラー油ってすごいなぁ」
このようにたいへんにピリピリした緊張感の中、リハーサルは連日夜遅くまで続いています。というわけで今回も、清水淳(Dr)・西嶋正巳(Ba)・中野豊(Gt)・矢代恒彦(KB)と私の5人で、みなさまにご満足いただける演奏を披露したいと思いますのでお楽しみに。良いクリスマスを。
2011/12/23
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