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Friday Column

No.269

『いなかおっぱいボローニャ』

毎日降ったりやんだりジメジメジメジメした季節まっぱだかの東京で、今はまだ人に言えないことに囲まれて忙しい日々を送っていますが、皆さまはいかが過ごしでショーンコネリー。つってもスケジュール的にギッチギチのカッペカペというわけではないんですが、出来るものが出来んことにはどうにも奈良の大仏なわけです。

それはさておき、母を連れてのプチ休暇旅行記。先週のモスクワに続き、今週はイタリア中北部、エミリア・ロマーニャ州のボローニャです。旅行記っつたって、ただひたすらうまいもんを食いまくったという話ですけど。

旅行先がなかなか決まらないなか、モスクワは私の交渉難航打破的提案でした。もう1カ所は母の希望でイタリアが出てまして、しかし、JALマイレージバンクの特典航空券で乗れる直行便が飛んでいるのはロンドンかミラノ。うぅん、短い滞在で大都市は難しいんだよなぁ、それにどちらも行ったことあるしなぁ。ということもあり、どうあれ帰りはミラノかローマからの直行便として、そのミラノ、ローマのどちらかに近くて、行ったことなくて、しかもモスクワから直行便が飛んでいる都市、という条件でいろいろ探してみたところ、トリノとボローニャが出てきました。どちらもミラノまで電車で1時間。ならば迷わずボローニャに決定。だって、そうでしょう。美味そうな響きで言えば明らかにボローニャでしょう。

というわけで、6月15日(火)、モスクワ・ドモジェドヴォ空港からメリディアナ航空の直行便でボローニャにやってきました。いやぁぁ、なにかとたいへんだったモスクワの後ですから、もう楽で楽で。タクシーはちゃんとメーター制ですし、イタリア語でOKですから、快適です。

母も私と同じく美術館や教会などの見物には興味がないってことですから、この街での目的はひたすら旨いもんを食べる、ただそれだけです。なんつたって“ミートソース”発祥の地ですし、イタリア最高級の生ハムや、日本でもおなじみのチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノの産地“パルマ”もすぐ近く、高級バルサミコ酢を産する“モデナ”はもっと近く。こりゃぁ食べもん旨いに決まってるでしょう。でもって、街を歩けばリストランテやトラットリアがゴロゴロありますし、それらはすべてイタリア料理店。イタリアは他の都市もそうですが、外国料理店はたいへんに少なく、たま〜に中華を見つけるくらいで、基本はどっち向いてもイタリアーノ。笑いながら迷えます。というわけでボローニャで食いまくったものをダァ〜ッと並べさせていただきます。

着いた日の夕食は、事前に母がガイドブックに丸印をつけていた【Trattoria Montegrosso】へ。街の中心、マッジョーレ広場のすぐ近くにありました。まずは有無を言わさず「生ハム(Prociuto Crudo)」、パパイヤと一緒に出てきました。はぁい、文句なしどぇす。で、店員さんのススメで「ズッキーニの花の天ぷら(Fritto dei Fiori di Zucchini )」。この季節だけだそうです。ちなみに、ズッキーニというと日本では“キュウリのデカイやつ”的なイメージがありますが、イタリア語的には、“zucca=かぼちゃ”の小さいやつが“zucchini=ズッキーニ”なんです。という瓜知識も挟みながら、はい、続いて、パルミジャーノ・レッジャーノがブリブリの「ラザーニャ(Lasanga alla Bolognese)」です。メインは「仔牛のカツレツ・ボローニャ風(Cotoletta di Vittelo alla Bolognese)」。モッツァレラチーズをのせて焼いたカツがホワイトソースに完全に覆われてました。うぁぁぁぁ、食った食った、おなかいっぱい。

更にとどめのドルチェ。店員さんに勧められて出てきたのは、名前は忘れましたが、なんだか真っ黄色なスポンジにチョコレートがぶりぶりかかってました。食べれば食べるほど正直これはちょっとシンとしましたけど。「この黄色いのはサフランですか?」と聞くと「違います。なんて言うのかは知らないけど、サフランではないです。」ってことでした。おじさん、しっかりしてくださいよ、イタリア人でしょ。


 

 


 

 

さて、翌日のお昼。ホテルからマッジョーレ広場まで、ほんの500mのインディペンデンツァ通り沿いに、見えるだけでも軽く10軒はレストランがあり、それらはすべてイタリアーノなもんですから、ガイドブックなんて必要ないどころか、どこで食べるか迷ってしまいます。母はピザが食べたいってっことで、ホテルのフロントの女性に「歩ける範囲で、ピザも食べれるおいしいトラットリアを御存知ですか?」と聞くと、すかさず「La Baita!」。と日本語だったらちょっとヒクような店名を笑顔で即答、地図を出して行き方を説明してくれたら、ホテルのすぐ裏の路地でした。

「トマトソースのスパゲティ(Spaghetti al Pomodoro)」に、「4種のチーズのピザ(Pizza ai Quattro Formaggi)」、でもって「タリアッテレ・ボローニャ風 (Tagliatelle alla Bolognese)」。私はこの街でコレが食べたかったのです。本場のミートソースに本場のパルミジャーノ・レッジャーノをぶ〜りぶりかけて一気食い、いぇ〜い。はぁぁぁ〜うまかったうまかった、いなかおっぱい。


 


 

そんな感じで食べてるばっかじゃないのです。私には、コレクションである“大学オフィシャルTシャツ”を買うという重要な目的がありました。なにしろ、この街には、西欧最古の大学【ボローニャ大学】があるっつうんですから、それも西暦1088年創設っつうんですから、きゃぁぁぁ! 素通りするわけには行かないのです。街のど真ん中にある大学本部が建てられたのは1563年だそうです。どっちにしろ感覚的にわかりませんが、現在は図書館・資料館になっているようで、入るとなんかわかんないけどスゴイ時間を感じます。世界初の人体実験室など無料で見学できました。しかし、ここにはオフィシャルTシャツはなく、そこから北東に歩いて10分の現在のボローニャ大学校舎に行ってみることにしました。現在の、といってもこちらももう軽く100数十年は経ってそうな建物です。学部ごとに建物が別れていて、この周辺一帯が大学街みたいでした。あとで調べたら全学生数は9万5千人、人口の3割近くは大学生だそうです。

図書館の入口らしきところで職員さんに「この大学のTシャツを探しています」と聞いてみますが「わかりません。もしかしたらザンボーニ通りにあるかも」ってことでした。次に廊下を歩いていたマジメそうな男子学生に尋ねたら「この先のなんたら広場からペテロうんたら通り(いずれも名称を忘れました)を左に入って最初の交差点にショップがあります」と建物の外まで出て方向を示してくれました。なんたら広場のカフェに母を待たせて走って行ってみました。

ペテロうんたら通りは、なにやらインド系やアラブ系の安い食堂が並び、多くの学生でにぎわっていましたが、大学のショップらしきものは見当たりません。食料品店に入って、まゆげがほぼつながった男性店員に「大学のTシャツを探していますが、この近くに大学のショップはありますか?」と聞くと、すごく不思議そうな顔で「わかりません」ってことだったので、その隣のエコでオーガニックでこじゃれた雰囲気の自然食品店のおしゃれな女性店員さんに聞いてみると、「角にあったんですけど、もう閉まっています」らしきことを言ったので、「今日、閉まってるんですか?」と聞き直すと、「いいえ、前はあったんですが、今はもうありません」とのことでした。そうですか、残念です。まだあきらめきれず、近くにあった文房具や本を売ってる店で聞いてみると、「ザンボーニ通りのたぶん30か32番地にあると思いますよ」ってことで行ってみたら、うん、たしかにその番地に大学関係のなんらかの事務所らしきものを発見。しかし、入口は閉まって「店ではありません」と張り紙がしてあります。中をのぞいていると、女性が出てきてドアを開けてくれました。「大学のTシャツを探しています」と言うと、「今はありません。来週・・」らしきことを言いましたが、正確に意味が分からなかったので「では、この近くに大学のショップは?」と聞き直すと、「それはここです。大学のTシャツはあります。でも今日はありません。来週になればあります。」ということでした。おぉぉぉ、それは残念。オフィシャルTシャツの存在もその売場も確認できたのに買えないと言うのは初のケースですが、まぁしかたがありません。しかし“西欧最古の大学”ですからね、いつかまた機会があればこの街にきっと立ち寄ろうと決めました。


旧ボローニャ大学の中庭
 

現在のボローニャ大学の中庭

はい、ということもありながら、夕食です。ホテルのフロントで一番エラいと思われる男性に美味しいリストランテを尋ねると、すかさず「Donatello!」と即答。昼間歩いている時にうまそうだなと思って気になってた店だったので、私も「おっ、Donatello」と言うと、「え、昨日行きましたか?」と言うので、「いいえ、昼間見ました。だから場所はわかります」と答えると、「おいしい、最高です」と念を押してくれたので行きました。

天井が高く、額に入った写真が壁一面に飾られた歴史を感じるリストランテ【Donatello】、通りに面したテラス席はすでに満席です。ここで食べたのはバルサミコ酢ぶりぶりの「野菜のサラダ(Insalata Mista)」、再び本場の「ボローニャ風・タリアッテレ(Tagilatelle alla Bolognese)」。お昼に食べたものもそうでしたが、日本で慣れ親しんだミートソースのようにトマトが入ってる気配は全くなく、もろに肉肉しい味わいです。そして“グラミーニャ(Gramigna)”というパスタ。初めて見る名前ですが、昨夜のトラットリアのメニューにもあったので、きっとこの地方のものだろうと思い「豚のラグーのグラミーニャ(Gramigna al Ragu di Maiale)」を注文。太めのちゃんぽん麺を短く切ったような生パスタで、九州人の私にはたいへん美味しかったです。締めのドルチェはチョコレートがぶりぶりかかった「ブディーノ (Buddino)」。英語にすると“pudding=プリン”ですが、「Buddino」の名の由来は「Budda=仏陀」を象ったことから、という説もあるそうです。とまぁそんな仏知識も交えながら、ひゃぁぁぁぁ、うまかったうまかった、いなかおっっぱい。


 


 

というわけで、響きだけで選んでやって来たボローニャでしたが、この選択は大正解。期待どおりにたいへんおいしゅうございました。ワインもいちいちリストなんか見ることなく、一番安い地ワインで文句なしですからね。しかもホテルの朝食バイキングでパルマの生ハム食べれるんですから、レストランで生ハム頼むのもアホらしくなりますよ。街もそれほど大きくないので基本歩きですみますし、観光観光したベタな雰囲気もなく、人も静かな感じで、とてもよかったです。街の中心部の歩道の多くは“ポルティコ(portico)”という回廊になっていて、横断歩道を渡る以外は傘なしで歩けるってのもステキです。楽チン旅行派の方にはオススメです。ヘンなとこばっかり行きたがりの私ですが、考えたらイタリアは7年ぶり、なんか久しぶりに楽なとこに来ました。


ポルティコ歩けば傘いらず

で、翌日ボローニャ中央駅から電車に乗ってミラノへ。イタリアの電車も速くなりましたよ。ボローニャ→ミラノ間が最速で1時間ですから。私たちは敢えて2時間かかるやつに乗りましたけど。車輛は“Frecciabianca”という新し目のやつで、清潔で快適です。でも時間の正確さでいうと、まだまだイタリアみたいですね。私の乗る電車も到着が10分遅れましたし、隣のホームはもっと遅れてました。だからモロモロ調整で到着ホームもコロコロ変わったりします。私の乗る電車も到着寸前にホームが変わりました。ホームにいた人たちが一斉に移動したので、え?と思って気づいたからよかったですけど、本でも読んでたら気づかなかったかもしれません。あぁよかった、本読まない人で。でもって、ミラノでもまたいろいろ食べたんですけど、もういいですか、はい、もういいっすね。というわけで私は山積みの宿題にもどることにします。


これは“Frecciabianca”ではないぞ

では、ここで久しぶりにクイズです。

問題:
ボローニャ2日目のお昼に食べたトラットリアの店名『La Baita』とは、日本語ではどんな意味でしょう?
次の4つから選び、そのイメージを独自の踊りで表現しなさい。

1.(羊飼いなどの)山小屋
2.(日雇いなどの)小さな仕事
3.(古代ローマ式の)大浴場
4.(なにがどうあれ)大欲情

正解は来週のこのページで。

ところで、じぇんじぇん関係ない話ですが、皆さんは私のバンドのベーシスト・西嶋正己さんのブログを見なければなりません。この春のBAND LIVE TOUR【ルックスだけでひっぱって】について、ベーシストの視点からの解説、それもなんと1曲ずつ事細かに連載中ですよ。「んんん、なるほどぉ〜」とか「へぇ〜、そうだったんだぁ〜」と、私も楽しく読ませていただいています。これって全曲書くのかなぁ、たいへんだろうなぁ。でも、始めちゃった以上、途中で2〜3曲束ねたりすることなく確実に1曲ずつ、最後の私の弾き語り曲『バイバイバイ』までを完全に書きとおすことでしょう。えぇ、西嶋さんはそういう男です。

ちなみに、そんな西嶋さんが10数年前訪れたイタリアの水の都・ヴェネツィアは、たまたまカーニバルの真っ最中で、サンマルコ広場は仮面をつけて仮装したイタリア人や観光客で溢れていました。おりもおり、たまたま風邪をひいていた西嶋さんはいわゆる風邪用の白いマスクをしていたところ、ヨーロッパにはマスクの習慣がないのか、それは“風変わりな仮面”とカンチガイされて、いろんな外国人に写真を撮られ、「いや、ちがうんです、ちがうんですってば・・」と言いながら笑顔で応えたそうです。えぇ、西嶋さんはそういう男です。

2010/07/09

西嶋さんのブログ http://jin-jiro.jugem.jp/



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