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Friday Column

No.262

『“ルッぴっぱ”を振りかぶって その4』

毎度毎度遅れがちのアップアップでごめんなちゃんちきおけさ。今週も引き続き【芸能生活23周年記念逆特別 BAND LIVE TOUR 2010ルックスだけでひっぱって】、後半のシークレットゲスト出演部分を中心に振りかぶります。演奏曲目をときどき御確認いただきながらお読みください。 【演奏曲表はコチラ】


ZEPP OSAKA

3月20日(土)の大阪と22日(月)の神戸公演には平井堅くんが登場しました。私がプロデュースさせていただき、08年のアルバム【FAKIN’ POP】に収録された『Twenty! Twenty! Twenty!』は当然やるとして、その他の選曲『Pop Star』と『君が好き胸が痛い』は平井くんによるものです。『Twenty!x3』はストリングスのイントロを奏でて、この曲をご存知の方には「あ、あの曲やるんだ!」的ニュアンスを感じさせながら8小節後に「君はTwenty!」とディレイのかかった出だしのフレーズをピアノに座ったまま歌唱。・・・と見せかけておいて実は私は口パクで、実際には平井堅くんがピアノの後ろの階段に後ろに出来るだけ姿勢を低くして、というかほぼ床に伏せた状態で歌っていたのでした。そして8小節後のブラスとドラムのキメ部分で、暗闇の中からピアノの上に平井堅くんがスパッ!と登場、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!。ただでも高身長の平井くんが右手を高く真っすぐ上げ伸ばした人差し指までの高さは推定2m40cm、たいへんなインパクトだったことでしょう。キュートな振付けでの『Twenty!x3』に続けて『Pop Star』。平井くんは「2コーラス目はKANさんがメインで」と言っていましたが、いやぁ、この曲難しいんですよ。音域広いし、高低差の激しいメロディですからね。でもってピアノのリズムもバシッとタイトにいかなきゃですし。ってそんなことにプロがおびえてどうすんだ、ってのもありますが、とにかく「漢字が難しい」という理由でAメロは逃げ、2コーラス目のBメロ・サビを私が歌唱することになりました。でも楽しいですよねこの曲は、たいへんによく作られたメロディだと思います。

本編終了・イリュージョン後に再登場していいただき、スットボケトーク対決の後は、『君が好き胸が痛い』を私のピアノ伴奏で平井くんが熱唱しました。あぁ、そうなんだ、そういうふうにうたうんだな、と20年も前に作った曲でありながら、平井くんの繊細で丁寧に気のこもった歌唱により、なにか大切なことを学んだ気がしました。平井くんありがとう。

大阪公演終了後の打ち上げ2次会では、平井くんが「やっぱり『Pop Star』の2番のAメロはKANさんに歌ってほしいです。歌ってください。歌いましょうよ。歌うべきです。歌いなさい。歌え。」という話を繰り返し、その度に私はテーブルに突っ伏せて寝たフリをしていたそうで、その話が終わるとやおら顔を上げ、またその話になると寝たフリを繰り返していたそうです。私は爽やかなほどに記憶にありませんよ。ひゃっひゃっひゃっ。ちなみに、先日5月13日は平井堅くんの【Ken’s Bar 15th Anniversary Special】、日本武道館で観せていただきました。たいへんに素晴らしかったです。

4月2日(金)の仙台公演と4日(日)の札幌公演は、最も長くおつきあいいただいている先輩バンド“STARDUST REVUE”の根本要さんが登場。09年夏、今回のシークレットゲスト企画をまず最初に要さんにオファーしたところ、09年10月からの全国ツアーのまっぱだかでありながら、仙台・札幌ならOKということで決定しました。10年1月に入ってからの具体的な打ち合せ、私なりに要さんの登場方法を考えてはいたんですが、なんと要さんから「オレが出る曲のひとつ前の曲から、ギターの中野さんとすり替わってるってのはどう?」という提案がありました。私が「あぁ、それはイイですねぇ。ところで、センパイ(中野さん)はその時どうしてるんですか?」と聞くと、「悪いけど・・・、ソデで弾いててもらう・・」とモゴモゴしながら言いました。「・・ってことは私たちと同じ衣装を着て、センパイと同じ髪型のロングのヅラをかぶるってことですよ」と言うと、「あぁ、オレはやるよ」と言い切ります。早速センパイに電話して「コレは要さんから出たアイディアですよ、ボクからじゃないですよ」と念を押して、その内容を伝えると、センパイは了解してくれたので、そうすることにしました。ってことは、要さんがセンパイにすり替わってギターを弾いてる曲で、前の方のお客さんがなんらかの異変に気づいたとしても声を出しにくい、つまりある程度しっとり聴かせ系の曲のほうが良いだろうということで、すり替わり曲は『カレーライス』に決定。曲終了後、ソデからセンパイが登場して、ギターの立ち位置には同じ衣装で同じ髪型が二人。そして、うちひとりがおもむろにセンターに移動して、スパッとヅラを投げたらそれは根本要さん。すかさず「今夜だけきっと〜♪」と曲が始まり、うわぁぁぁぁぁぁぁ!、という“あり得な〜い”演出です。そしてそのままハードロックナンバー『WHITE LINE』へ。で、「ボクあと一点で免停〜!」とシャウトした後の間奏では要さんがピアノの上に昇ってギターソロをぶりぶり弾きますが、さっきはソデで弾くハメになって、今度は本来自分の見せ場であるギターソロまでとられたんじゃだまってるわけにはいかないぞ、という程で、センパイもダッシュでピアノにかけあがり、ピアノ上で二人のギターソロバトルが繰り広げられ、最終的には「お前もやるな、お前もな」的に握手して和解、という流れです。そして、和解後のBメロで二人はピアノから降り、それをうらやましそうに見ていたベースの西嶋さんは、最後のサビにむけてゆっくりをピアノの階段を上がりますが、ここだ!というサビのキメで西嶋さんの照明がストンと消える、というアフターギャグまで綿密に計画しました。

本編終了・イリュージョン後の再登場では、STARDUST REVUEの名曲のひとつ『夢伝説』を演奏しますが、ここでは私が何年も前から一度やってみたかったコントを提案します。「ちょっとしたコントやりたいんですけど・・」と様子をうかがうと、要さんは「オレはKANの演出も、KANのバンドも信頼してるから、なんでもやるよ」と。「ホントですか? コントですよ」と念を押すと、「あぁ、全部やるよ」と言ってくれました。そうであれば遠慮なく、いや徹底的にやるというのが私のポリシーですから、『コント・夢伝説』の基本フォーマットを作ってリハーサルに臨みました。これが実に5ボケもあるコントで、札幌ではさらに6ボケまで発展しましたが、その内容を文章で書き表そうとしても、いくらかいても伝わらないというか、実際途中まで書いてみたんですが、書けば書くほどあの感動的なおもしろさから遠ざかるというか。ま、そりゃそうでしょう。文章で書いて伝わる程度のコントではないのですから。なので、『コント・夢伝説』についての細かい解説は断念。観ていただいた皆さまが、“伝説”にしてください。とにかく、それはどこまでもバカバカしくとことんシツレイで果てしなくシツコイ、それでいてあくまで音楽的な『コント・夢伝説』であったのです。なんせそれだけで15分くらいやってましたから。いやしかし、それでも果たして要さんが『夢伝説』を本当に歌い出したら、それまでのバカバカしくシツレイでシツコイコントなど、すべて消え失せさせるパワーがあるのだと確信していましたし、要さんはそれをすべて完璧にやり遂げてくれたのです。素晴らしい、最も尊敬すべき先輩のひとりです。ありがとうございました。ちなみに5月16日はSTARDUST REVUEのコンサート【太陽のめぐみ】、大阪からサンダーバード21号に乗って金沢で観せていただきました。88年以降、これまで何度も観せていただいてますが、今まで観たなかで一番すごかったかもしれません。しかも、夜遅くまでお酒も飲ませていただいたので、頭が上がりません。

さ、そしてとうとうASKAさんの登場です。4月10日(土)の広島、11日(日)の福岡、そして17日(土)の大阪の3公演に出演していただきました。そうです、なんつたってASKAさんですから、今アルバムでの共作曲『予定どおりに偶然に』を演るのです。というか、ASKAさんがいないとあの曲は成り立たないのです。ツアーも後半ということもあり、インターネットの書き込みサイトなどでは、どこに誰が出るだろうか、ASKAさんはいつだ、という話題になっていたようですね。私が『予定どおりに偶然に』ピアノのイントロを引き始めたところで、「おぉぉぉっ!」と感じた方も多かったことでしょう。でもって、キタァァァァァァァーッ!ってことです。そして肝心なのは、CDでのあの壮大なストリングスアレンジを、ライブで5人だけでどう表現するかです。『小学3年生』同様に、リハーサルで最も多くの時間を費やした曲です。いろいろ試行錯誤を繰り返し、“後期のBEATLESとQUEEN”的なアレンジで演奏しました。CDとかまた違ったアプローチですが、充分期待に応えられたと思いますし、そしてそれはなによりASKAさんが歌唱して初めてそうなったのです。どうあれ一番たいへんだったのはやっぱり矢代さんだったりします。

もう1曲は私からのリクエストで『晴天を誉めるなら夕暮れを待て』。これはどっちかっつうと私ひとりで歌いきりたいくらい好きな曲なんですが、ASKAさんに来てもらっておいてそういうわけにもいくわきゃなく、でもちょっとくらいは歌いたいので2番のBメロだけメインを歌わせていただき、それ以外はASKAさんのコブシにピッタリ乗ることに集中してコーラスパートを歌いました。


『晴天を誉めるなら夕暮れを待て』

そして本編終了・イリュージョン後、再登場したASKAさんに、私は更に大きなお願いを聴いていただきました。それは、91年に『はじまりはいつも雨』を聴いて、初めて邦楽曲に胸を打たれ感動し、その衝動のまま「ASKAさんみたいな曲を・・」と作曲した『MOON』を、ホンモノのASKAさんに歌っていただく、というお願いです。93年のアルバム【TOKYOMAN】に収録し、ライブでも何度も演奏していますが、ASKAさんに歌唱していただくことで、『MOON』はついに真の完成型となったのです。いやぁぁぁ、これは感動的だったなぁ。泣くかと思いましたよ、ホントに。九州男児ですから泣きませんでしたけど。いやぁぁぁ、しかし、ASKAさんの存在感は恐ろしいものがありますね。ありがとうございました。

ASKAさんに御登場いただいた4月17日(土)の大阪追加公演をLIVE DVDとして発売します。発売時期はまだ決定していませんが、ちゃんと時間をかけて丁寧に作りたいですから、たぶん秋くらいになると思います。お楽しみに。


『適齢期LOVE STORY〜全曲つなげ』

で、まだこれで終わりじゃないんですよ。私のライブならではのアトラクションが残っています。そうです、演奏した全曲をダイジェストで一気につなぐ『全曲つなげ』です。シークレットゲストの皆さんにはこの『全曲つなげ』までも登場していただいて初めて“やり切った”と言えるのだという思いを伝え、皆さん快諾していただきました。ということで、今年の『全曲つなげ』は6パターン。それはそれはたいへんでしたが、それだけに達成感もひとしおです。本来『全曲つなげ』には、じぇんじぇん関係ない他の曲をどさくさに紛れ込ませて、ベースの西嶋さんが「ちがぁぁぁぁう!」と絶叫するというお決まりのパターンがあり、それも考えてはみたんですが。例えばASKAさんが「YAH〜、YAH、YAH〜、YAH、YAH、YAH、YAH〜♪」と歌っているところを「ちがぁぁぁぁぁぁう!」とぶった切るとか。しかし西嶋さんは「そんなこと、できませんよぉ、できるわけないじゃないですか、やめてくださいよぉ〜」ということでした。そりゃそうです、それはやってはいけないことなのです。6アーティストのみなさん、それぞれ完璧にやり遂げていただきましたし、なかでもaikoさんは特別にカンペキだったと言えるでしょう。

で、最後の最後は私ひとりで『バイバイバイ』を弾き語って終演。ひゃぁぁぁぁ、お疲れさまでした。

そんな私の【芸能生活23周年記念逆特別 BAND LIVE TOUR 2010ルックスだけでひっぱって】を特別スペシャルなツアーにしていただいた、ゲストアーティストの皆さま、関係者の皆さま、本当にありがとうございます。こんなツアーはもう出来ないと思いますよ。心から感謝します。そしてなにより観に来てくださった皆さま、ありがとうございました。


ありがとうございました

で、問題は次です。次のバンドツアーで私の真のリアルな真価が問われるのだということを、私はよ〜くわかっています。怖いどぇす。ま、その前にまたパントマイムのツアーやりますけどね。あれはあれでまた別モンですからね。“誰も死んでないお通夜”みたいなもんですから、それはそれで別の意味で自分で自分に試練を与えながらがんばりますので、よろしくお願いします。

で、5月15日(土)は大阪城音楽堂でのイベント【Pleasant Garden ~female edition~】、18日(火)は東京国際フォーラムでの【ラッキーラクーンナイト5】、観に来ていただいた皆さま、ありがとうございました。おもしろかったでしょう。あれはホントに特別に楽しいイベントです。そんな【ラッキーラクーンナイト5】については、計6回のラッキーラクーンナイトを網羅する雑誌【LuckyRaccoon extra 〜ラッキーラクーンナイトのすべて〜】が、7月12日に発売されますので、そちらを是非御覧ください。それが出た後に私は私なりにここで書こうとも思います。

今週は比較的ゆったりしてますので、次の金コラは遅れることなくアップします。ホントです。っつうか、曲つくんなきゃなんですよ、いろいろと。で、29日(土)は大阪城ホールでのビッグバンドライブに出演します。ASKAさんも一緒です。そちらもお楽しみに。

2010/05/21



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