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Friday Column

No.114

『ap bank fes '070716』

はい、終わりました『ap bank fes ’07』。私は初日14日(土)に出演の予定でしたが、多くの皆さんは御存知であろうとおり台風の影響で、前日の「eco-reso+」や「eso-reso camp」も含めて14・15日と中止になりました。そして1日だけの開催となった16日(月)に振り替え出演しました。今週はそのあたりをざっと振りかぶります。ちょっと長いっすよ。

7月9日(月)夜、都内のリハーサルスタジオでBank Bandの皆さんとのリハーサル。数日前にBank Bandでの私なしのリハはすでに行われていた上でのこの日のリハです。小林武史さんに「お時間は、どのくらい?」と聞いたところ、「気が済むまで」と言っていただき「ありがとうございます」ってことで、じっくりやらせていただきました。後で聞いたら、他のアーティストのみなさんはだいたい平均1時間くらいだったそうで、3時間かかっちゃったのは私だけだったようです。こりゃまた失礼いたしやした。でもね、日本を代表する素晴らしい演奏家の皆さんですから「なげぇ〜なこいつ」と思った方はひとりもいらっしゃらなかったはずだとおおらかに解釈しています。

12日(木)、高級北欧車で東名高速をぶっとばし夕方に『つま恋』の会場入り、そんなBank Bandのみなさんとのステージでのリハーサルをスパッと終え、みなさんはそのあと更に遅くまでリハーサルを続けていたようですが、私は雷と豪雨の東名を西に走りこの日の宿泊先の浜松入り。適当に飲んで食ってさっさと寝ました。翌朝、ホテルで『金曜コラム』を書き上げ、それがアップされたことを確認してお昼ホテルをチェックアウトし、あの浜松名物を食べるべく老舗『八百徳本店』に向かいました。約6年ぶりの“お櫃うなぎ茶漬け”が運ばれて「さぁ食べよう、ひさしぶりだなぁ」と箸を割ったところで、同行者・近藤くんの携帯に“14日の公演中止が決定”したと連絡が入りました。「あぁぁ・・、中止・・・」。いやぁね、ホントに楽しみにしてましたから、それはそれは悲しかったです。私が小学生だったらうぇんうぇん泣いてると思います。「おいしいんだけど・・、悲しいねぇ」って感じで“お櫃うなぎ茶漬け”を食べ終え、再び東名高速をぶっとばし『つま恋』に入りました。


おいしいんだけど・・、悲しいねぇ。

主催スタッフから中止決定の経緯や今後の展望を聞いた後、フードエリアにあるFM802のサテライトスタジオからの生放送に悲しみに暮れながらも予定どおり出演しました。ステージでは、やぐらの黒いシートをはずしたり照明を下ろしたりと、迫りくる台風に備えての大掛かりなバラし作業が行われていました。いやぁ、仕方がない、台風も大型だけど、このイベントの規模ももたいへんに大型ですからね。お客さまの安全を最優先に考えての苦渋の決断だったのでしょう。練習スタジオのある建物に戻って小林武史さんと櫻井くんに会いました。台風がこのまま進むと15日の開催も絶望的とどんよりした雰囲気の中で、「くやしいけど、仕方ないね、じゃ、16日がんばって」と去ろうとした時、小林武史さんから「KANくんって、16日のスケジュール空いてる?」と話があり「えぇ、もちろんっすよ」。「16日が決まったら、やれることはどうにかして全部やる方向で考えてるから、もしやれることになったらもう1回来てくれる?」ってことで、「よろこんで」と握手を交わして『つま恋』を後にし、雨の東名をぶっとばして東京に戻りました。

いやしかし、16日の公演開催が決まっても私が出れるかどうかはまた別の問題なので、ここでよろこんじゃうとダメだった時の悲しみもまた倍の倍の倍なので、決して期待はせずに台風の動向を気にしながら、15日(日)の公演中止が発表になった14日は午後を通して玉葱を飴色になるまで黙々と炒めてチキンカレーを作ってました。

翌15日午後、最終日16日の開催決定の発表があり、その数時間後に私の振り替え出演決定の連絡がありました。この時点で、私の出演情報を当【www.kimuraKAN.com】で発表するか否かについて主催者側と協議した結果、当初発表されているアーティスト以外の振り替え出演情報はいずれのアーティストについても発表しないという結論に達しました。私の解釈では、14日・15日のチケットを手にしていたみなさんにとってはそのチケットを16日に変更するわけにもいかないですし、スケジュール的に振り替え出演が不可能なアーティストやシークレットゲストとして備えていたアーティストのみなさん、各方面のことを充分考慮した上での判断だったのだと思います。もちろん私は期待しないように玉葱を飴色になるまで炒めながらも心の中ではめちゃくちゃ期待していた振り替え出演ですから、決まっちゃったらすぐにでも情報を掲載したいと思い、その準備もしていましたが発表はひかえました。という経緯を御理解いただけたらと思っています。

さて、16日です。必ずオープニングから見たかったので、早め早めの新幹線を掛川に向かってぶっ飛ばしました。250〜60km/hは出てたと思います。11時前に会場に到着し、スタッフ・出演者の皆さんと握手を交わして雑談しているうちにもうその時がやってきました。

12時、「うわぁぁぁ、泣いたらどうしよう」と言いながらステージに出て行った櫻井くんがこのフェスのために作ったオープニング曲『よくきたね』をステージ袖で聴いているみんなのほうが泣きそうになってました。GAKU-MCさん、HOME MADE 家族さん、絢香さん、KREVAさんとカッコイイ若手アーティストのナンバーが続く中、AIさんは特にすごかったですねぇ。ステージ裏のコンテナの楽屋のガラス窓がブルブル震えるくらいの凄い歌でした。1部終了後のBREAK TIMEでは、東田トモヒロくんがアコギ1本で熱唱。DEPAPEPEもイイ。いやぁ、みんなすごい、すごくイイ、演奏できるってことはホントに楽しいってことを素直に喜べる、そんな時間が流れます。

2部が始まり、15日からの振り替え出演の大貫妙子さんのステージも見たかったんですが、15分後にはついに私の出番ですし、今回はお着替えにちょっと多めに時間がかかるもんですから、楽屋コンテナに戻ってそそくさと着替え始めます。ハイソックスをはいてショルダープロテクターをかぶって腰回りにパットを巻いて、腿と膝にパットが入ったジャージをはいてスパイクを履いて、今日のためにオーダーしたシャツを着て、肘にサポーター、手首に汗止めをつけ、目の下を黒く塗って、ヘルメットをかぶって完成です。えぇ、そうですよ、アメフトです。「そろそろお願いします」と私を呼びにきてくれたMr.Childrenのマネージャーさんが私の出で立ちを見た瞬間のめちゃくちゃ新鮮なリアクションと同時に、もう十数年も私のツアーの舞台をやってくれているボートマンのスタッフの「いいっすねぇ」という極めてサラッとした反応のコントラストがよかったです。

大貫妙子さんの演奏が終わって私はステージ袖にスタンバイ、櫻井くんが私を呼び込むMCを始めました。「ぼくが尊敬するアーティストを紹介します。本当は14日に出演するはずだった・・・」と言ったあたりで、私は「みんな小田和正さんを期待するんじゃないの」と思いましたが、直後の「リハーサルでは3時間も細か〜いギャグを言い続け・・・」というあたりで、お客さんは「じゃ、小田さんじゃねぇな」と認識したでしょう。「Mr.Children、Bank Bandの他に“パイロットとスチュワーデス”という・・・」と言ったあたりでエライ反響が返ってきたんでこっちもビックリしましたが、「紹介します、KANさ〜ん!」ってことでスポーツマンらしくダッシュでステージに走り出て、ヘルメットをとって中央でお辞儀をすませて振り返ると、櫻井くんはしゃがみ込んでました。



いや最初はね、衣装について櫻井くんからもスパニッシュでメランコリックなアイディアも出てはいたんですが、「いや、このイベントに関しては、“衣装的には”私に同調しないほうがいいでしょう。」と言う話に落ち着き、「ところで櫻井くんは何着るの?」と聞いたところ「いや、普通にTシャツとか・・」って感じだったんで、「じゃぁ、ぼくもTシャツ系かな・・」ってことで“Tシャツ系、Tシャツ系・・”とあれこれ考えていたら、たまたま7〜8年前に来たことのあるアメフトのシャツが押し入れから出てきたもんですから、「あ、このTシャツにしよう」と思い、しかし、たいへんに大きな野外ステージですから、遠くのお客さんには“じゃちりめんじゃこ”ぐらいにしか見えないだろうし、少しでも肩幅を広く見せれたらなぁと考えていたら、これまたたまたまショルダープロテクターが押し入れから出てきたもんですから、「あ、これつければいいんだ」ということになり、せっかくだったら今回のステージ用にシャツをオーダーしようと渋谷のアメフト専門店に走り、『KAN』のネームと『44』の年齢背番号が入ったシャツを特注しました。“野外=アメフト”、私の感性では極々普通の発想ですし、Tシャツですし、つまり“普通にTシャツ”ってことなので、特に櫻井くんに事前報告するほどのことではないと考えてましたし、”普通にTシャツ”ですから理論的には広い意味で ペアルックみたいな解釈もなきにしもアラブみたいな気分でしたから、登場時に以外と驚いてたんで逆にこっちがビックリしました。

さて肝心の演奏ですが、曲目は『MAN』『世界でいちばん好きな人』『愛は勝つ』の3曲。打ち合せ当初は櫻井くんから『猿と犬のサルサ』をやりませんか、という話もあったんですが、サルサものはリズム体の編成が根本的に違うし、この手の曲はガッチリ作り込まれた演出で演奏するべきだという私の考えから別の曲を探り、最終的に『MAN』ということになりました。気がつきゃ96年に発表した直後のツアーで演奏して以来11年ぶりの『MAN』、Bメロの櫻井くんのハモリが気持ちよかったです。『世界でいちばん好きな人』にもCDにはないコーラスをつけてくれました。そして『愛は勝つ』。リハーサルで小林武史さんが「がぁぁ〜っと勢いで行き通すってのもアリなんだけど、どっかふっと落とすところがあると、より歌詞が訴えるというか、メッセージがより前面に出ると思うんだよね」的な話があっていろいろ試しましたが、私にとってはやっぱこの曲は“がぁぁぁ〜っと勢いで行き切るべきだ”という作曲当初からの考えがあり、そんなこともあってリハーサルで多くの時間を費やしちゃったわけですが、最終的には“せっかくのこういう機会だし”小林さんの胸を借りてみようと決意し、間奏明けのBメロ(Carry on〜のブロック)頭でスパッとバンドが抜けてピアノと歌だけになって、次のAメロにむけて全体が再びぐわあぁぁっと入ってくるというギャップを作り、最後の最後にもう一度ピアノと歌だけになる、というこれまでには考えもしなかった構成になりました。果たして本番で演奏した『愛は勝つ』は、悔しいかな小林さんの構想どおりに強い説得力を持ったのではないかと思います。あそこで一回落とすことによって最後に転調した瞬間のガッと開ける感じというか、言葉では表現しにくいですが、そのような『新・愛は勝つ』的な何かを感じました。思えばこれまで誰かにプロデュースされることなく、というかあまり人の意見を聞き入れることなくソリッドに活動してきた私にとって、今回の小林武史さんによる音楽的な助言はなんだかすごく大きく残りました。



私の次にあの加藤登紀子さんが出演し、コブクロの二人が登場、絢香さんを絡めての「ま〜が〜りくねったぁ〜」のハモリは圧巻でした。14日にバンドで出るはずだったレミオロメンの藤巻亮太くんはひとりでギター1本で『粉雪』を熱唱しました。そしてシークレットゲストはなんと氷室京介さん。シンセサイザーによる幻想的なイントロにのって登場し「タノシンデイマスカ〜!」とオーディエンスをあおりながら2曲を歌い終え、バンドがエンディングのフレーズをリフレインするのを背にサ〜ッとステージを去っていきました。Mr.Childrenのドラムの鈴木くんと一緒に袖で見てましたが、いやぁ、カッコイイです。鈴木くんに「やっぱあっちだよ、ロックだよ。オレもこれからはやっぱアッチだな」と言うと、鈴木くんは「でも〜、ぼくは、KANさんは、アッチじゃないほうがイイかなぁ〜」って言ってました。Bank Bandによる『Mr.Lonely』を最後に約5時間におよんだBank Band with Great Artistsが終了。

さぁBand Actはウルフルズです。いろんなタイプのアーティストが大所帯の分厚いBank Bandとともに演奏した後に、5人だけのシンプルストレートなファンクロックで観客をズバ〜ンと持っていく様はカッチョイイです。「バンドって楽しいなぁって」打ち上げでみんな言ってましたが、ホントにそんな“オレたちの基本”みたいな楽しさが炸裂した30分でした。

最後はMr.Children。思えばこのバンドの演奏を袖から見るのは初めてでした。けっこう昔の曲が良い具合に入った渋めの選曲で、『抱きしめたい』は唸りましたし、やっぱ『しるし』はイイ。小林武史さんによるきっと二度と聴けることはないであろうアバンギャルドでイレアルなイントロをものともせずに2万7千人をスパッと仕切って歌いだした櫻井さんはステキです。

フィナーレは、氷室さん・HOME MADE 家族さんを除く出演者全員がステージに並んでの『to U』。実はこの日の出演者での歌い分けと歌い合わせは、ウルフルズの演奏終了後、Mr.Childrenへのセット転換の15分間にステージ裏で行われました。それにしても美しいメロディ、美しい歌詞です。もう陽も沈んだ会場のたくさんの皆さんがゆったり左右に揺れる光景にうっとりしながら歌いました。

とまぁこんな感じのレポート、私が目で見たことしか書いてませんのでライブのことばかりになりましたが、それ以外にも地球環境問題を考えるさまざまなことが行われた『ap bank fes』。私はフランス式の反大量消費派ですので、特に提言することはなくとも、いわゆる“エコ意識”は軽めですけどけっこう前から持ってるっちゃ持ってるつもりです。【ap bank】はもちろん様々な団体の様々な活動などにより、地球環境問題について考えるキッカケは日本でもどんどん増えているものの、アメリカ式経済最優先の大量消費型ライフスタイルで成長してきた戦後の私たち日本人ですから、ある意味それまでの育ち方に相反する“エコ意識”が生活の中に普通に潜在するようになるには、予想以上に長い時間がかかるような気がします。でも今回この【ap bank fes ’07】に参加して、自身の思いや意見を不特定の大勢のみなさんにむけて発表・発信可能な職業の私たちは、その意識を“リード”していかなきゃならんのだなという、うすうす感づいてはいた責任めいたものをより現実的に感じるようになりました。しかし、言い方・やり方ってのは難しいですけどね。だって、地球環境について何を知ってるわけでもないんですから、ちょっとは勉強せんといかんですね。かといってそれによって本来あるべき音楽の楽しさや、その解釈が変形してしまうのは私にとって本末転倒ですし、いやぁ、難しいです。・・というようなことを考えていると、この『ap bank fes ’07』というのは、そのあたりのことがいろんな角度から考えられた楽しいイベントなんだなぁということに気づきました。という意味でも4日間が1日だけになっちゃたのは悔しいですね。

終演後の打ち上げは楽しかったなぁ。もうそれについてこのあと2週分くらい書きたいイメージですが、やめときます。ひとつだけ、“KREVAはスゴイ”。1次会の挨拶でGAKU-MCさんにふられてのCO2をモチーフにしたKREVAの即興ラップ、ああいうのフリースタイルって言うんでしょうけど、今までに経験したことのない、スッグォイもんを見せられました。表現できません。めちゃくちゃ感化されました。オレもこれからは10年がかりでラップです。だいじょぶです、私だってもともと大学生ん時はそうだったんですから。一瞬ですけど。

最後に、中止になった14・15日の公演を楽しみにチケットを手にしていたみなさま、きっとその日のためにあらゆることを調整して調整して楽しみにしていたみなさまのどうしようもない残念感は、私の想像どころではないかと思いますが、相手は台風でした。それに決して逆らわず何ができるかを真剣に考えてスタッフ・演奏者全員が今やれるベストを尽くしたイベントだったと思います。その上に乗っからしてもらった私が言うのもなんですけど、是非来年こそきっと参加してください。

そして毎週のこの金曜コラムを楽しみにしていただいている皆さまにはたいへん申し訳ないことに、私としたことが今回じぇんじぇん写真を撮ってませんでした。もちろんデジカメは持ってていろんなアーティストとおもろい写真を撮りたかったんですが、ステージ袖からみんなの演奏を見てたり、楽屋コンテナにエレピを入れてもらって練習してたり、というのを繰り返してたもんですから、しかも私の活動歴で最も大きなステージなわけですからヘラヘラしながらいっぱいいっぱいだったんでしょうね。唯一撮っていたGAKUさんとのこの1枚を貼り付けて、今週はおひらきとさせていただきます。


まだ出会ったばかりでカタイふたり

2007/07/20



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