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Friday Column

No.096

『銀座で靴を買ったのさ』

さぁ、来週から始まります『弾き語りばったり #5 〜スプリングハニカム〜』。
ライブツアーのプロモーションなどでインタビューを受ける場合、当然のことながら「今回のライブの見どころは?」と聞かれることが今も昔もよくありますが、この質問にうまく答えられたことは今も昔も一度もありません。例えば、過去に私のコンサートを観てくださっているインタビュアーの方でしたら「見どころは?」なんてことは聞いてこないでしょうし、「また変なことたくさん考えてるんでしょう」「かなりおもしろいと思いますよ、うまく行けば」「今回メインはなんですか?」「そんなもん言うわけないじゃないですかぁ」「ですよね、じゃぁ楽しみにしてます」「はい、お待ちしてます」ってことで話は終わりで、あとはうまいこと書いてくれるんでしょうが、例えば初めてお会いする方だったりするとやはり「今回のライブの見どころは?」となってしまうのは仕方のないことです。でもどうでしょう、いろいろネタやワザを考えていたところで、その内容を事前にバラすようなことはじぇったいしないわけで、しかしそれがインタビューである以上“そのライブを観てみたい”という気持ちにさせるような話をしなければならない、それがプロモーション行為であるわけで、うぅぅ〜ん、やっぱりこのように矛盾に取り囲まれた状況でこの質問にうまく答えられるはずはないわけです、今も昔も将来も。

で今週のコラム、本物のアーティスト風シリーズ『弾き語りばったり #5』がいよいよ始まるにあたって、チケットをお買い上げいただいた皆さまには「うぅぅ〜、楽しみだぁぁぁ」と思って来ていただきたいですし、今これを読んで初めてツアーがあることを知ったという方には「うぅぅ〜、観に行ってみたいなぁ」と思っていただければ、と書いているわけです、基本的には。

では今回のツアー“見どころ”はというと、・・・うぅぅん、えぇぇ〜っと、ないんですよねぇ、とくに。始まる前にバラしたくないわけではなく、ないんです。だって私ひとりピアノ一個の弾き語り、それだけですからねぇ。ただただ自分の楽曲を、いかに丁寧に確実に気を込めてお客さまの心に脳みそに響かせられるか、それだけなんです。そう言う意味では“聴きどころ”はいくらでもあります、ってゆうか全部です。いや逆に言うと演奏曲すべてが“聴きどころ”だった、とお客さまに感じていただかなければならないのです。うぅぅん、書いてて更に重圧が増してしまったぢゃないか。

もちろんしゃべるのはしゃべりますよ。でも弾き語りライブに於ける“しゃべり”は私の場合、逃げ場のないマジな弾き語り行為との精神的なバランスを自分の中でどうにかとっていくためのもので、一応ここではこのような話を、と大まかな流れだけは決めているものの、あとはその場その場の口からデマカセ120%なもんですから、このしゃべりに関しては“聞きどころ”など一切なく、どころか、お客様にとっては、私KANを観に来ていただいているにもかかわらず、その私の話をいかに真に受けずテキトーにへらへら聞き流しながらも、極稀にあり得るかもしれない重要な部分だけは聞き逃さない、という特殊な技術と不思議な精神力が要求されるわけです。これはこれで困ったもんですねぇ。まぁどうあれやはり“見どころ”はみつかりません。

しかし、こんなことでは今まさに始まろうとしているこの『弾き語りばったり #5』を楽しみにしてくれている皆さまにたいへん失礼ではないか。ヘタすりゃ“見どころ”のないライブなんて、そんなの家で寝っ転がってヘッドフォンでCD聴いてるほうがよっぽどいいんじゃないか、とまで解釈されてしまう危険が危ないではないか。

なので私は考えます。そう、人間は考えるあしであり、あっしは考える人間です。バンドでのライブではあり得ない、弾き語りライブならではの特徴はなにか。もしかするとそこに“見どころ”を見いだすヒントが隠されているかもしれないのだ。弾き語りライブの特徴としてはまず“ステージまでの距離が比較的近い”ことがあげられます。いや、もちろん大阪・なんばHatchの2階席の奥なんかになると決して“近い”とは言いにくい距離感であるのはいなめなめなめなめませんが、全般的にはこれまで私がやって来たコンサートと比較すると“近い”と言えるでしょうし、福岡・アクロスなんて小さい空間の円形ステージで私のまわりをグルッと一周お客さまが囲むわけですから、最後列だってすぐそのへんです。屁もできねぇってのはこのことです。松山・MONKは今回初めてですが、『ばったり #2』での仙台・LLLくらいの至近距離感が予測されます。そして弾き語りライブのもうひとつ特徴は“立たない”こと。私自身ず〜っとピアノに座って、まぁ厳密に言うとイスに座っての演奏ですし、選曲も思わず踊りだしたくなっちゃうようなノリノリフィーバーなダンサブルナンバーは考えられませんので、お客さまが立ち上がることはまずあり得ませんし、もしそうなったらプリーズシットダウンと何らかの言語で戒めることでしょう。これによりお客さまの目線の高さ平均はスタンディング時よりも50センチほど低くなり、そのぶんステージの床線は高い位置に来ます。つまり演奏者の足元まで目で確認しやすいのです。ん?逆か?まぁいいや。そして弾き語りライブの最も重要な特徴は“動きがない”ことです。バンドでのライブでは跳ねたり踊ったり派手なバク転や華麗なトリプルアクセルを繰り返しキメてきた私ですが、弾き語りに関しては“動き”は全くと言っていいほどありません。

果たして私は、“近い”“立たない”“動きがない”の3つ特徴から、弾き語りライブに於ける“見どころ”を見いだしました。そして、その“見どころ”をまだツアー開始以前の今、ここで公開します。こんなことは芸能生活20周年を目前にして全く初めてのことです。いいですか、いきますよ、どん↓。


HEMMING OXFORD

踊ることもなければバク転もトリプルアクセルも決してやり得ない座りっぱなしで動きのない今回の『弾き語りばったり #5 〜スプリングハニカム〜』の見どころはズバリ“靴”です。30を過ぎてから愛履している【Cole Haan】というメーカーの“HEMMING OXFORD”、ステキな名前でしょう。昨日銀座で買ってきました。特別にオシャレをする時はやはり銀座でお買い物をするのです。これを履いて私はステージに登場します。ピアノを弾く手を見るように、ペダルを踏んだり、時にはリズムをとったりするこの靴を見てください。なぜならそれが考える人間であるあっしが絞り出した今回の“見どころ”であるからです。しかもこの“HEMMING OXFORD”、結構なお値段です。ふ、だって、当然じゃぁないですか、それが今回のライブの“見どころ”なんですから、はっはっは。

私の知る限り“靴が見どころ”なんてのは、1983年にアポロシアター25周年記念ライブでマイケル・ジャクソンがシャネルのコインローファーを履いてムーンウォークをやってのけた以来のことです。そう言う観点から凄く無理するとこの『弾き語りばったり #5』は“マイケル・ジャクソンばりのライブ”だと言えるのです、ある意味。なぜこんなインタビュー受けしそうなことを今まで思いつかなかったのか、あぁぁ、今からでもいいからだれかオレにインタビューして、それを派手に書き立ててくれる人はいないだろうか。

とまぁ、このようなことを意味もなく書きながら、今日もひとりでただただ練習してきます。今回も過去の『ばったり』同様、開場時間からステージで地味に練習しながらお客さまをお迎えするという“オーラゼロ宣言”でやってますんで、気にせず楽に観にいらしてください。あ、それから靴といっしょにベルトもイイやつ買ったんでそのへんも双眼鏡かなんかで凝視していただけるとお互い恥ずかしくておもしろいかもしれません。お待ちしてます。

2007/03/16



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