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Friday Column

No.091

『悩める音楽家たち』

じゃぁ、これはなんですか?


TD-30M

先週のコラムお読みいただけましたでしょうか。その中でちらっとふれた、そうです、超小型ワイヤレスCCDカメラです。ここにこうして写真を載せるべきかどうか一瞬躊躇したんですが、ちゃんと正規販売されているもんですし、なにしろ家電量販店であっさりみつけちゃったもんですから・・・はぁ〜い、ウソです。そんなもん探してませんし、間違って見つけちゃったとしても買わないと思います。

で、本当は何かという正解をさらっと書くのもおもちろくないですから、下の写真を見て考えてください。上の部品を組み立てて、このようにして使います。


通常の設置例

世の中にはいろんなことを考えて作っちゃう人がいるもんです。情報の早い方はすでにご存知でしょう、そうです、時間に追われるニューヨークのミュージックビジネスマンのニーズに応えて開発された受信専用携帯電話、その名も『nipphone/ニップフォン』。エレキギター・エレキベースなどに洗濯バサミ形式で装着し、ギター本体のスイッチやツマミと連動させて操作しながら、どうしても手がはなせない演奏中の通話やメールチェックが可能。カッティングにソロ、場合によってはコーラスもと多忙なギタリストには待望の・・・・・はっはっはぁ〜い、ウッソどぇ〜〜っす!。もう“ニューヨーク”って書いたあたりからすでに怪しい感じが出てましたね、ネーミングはさほど悪くなかったんですが、“ツマミと連動”って書いちゃったところで完璧にもうダメだと思いました。

で、結局正解はなにかというとですね、クロマチック・チューナーです。楽器のチューニングをする時に用いるメーターです。私は基本的専門がピアノですから自分で調律することはありませんが、時と場合によってギターも弾くもんですから昔からチューナーはなんとなく持ってました。

その昔はチューナーと言っても『音叉/おんさ』という単純なもので、柄つきU字型の金属の先端をたたいて振動させ、柄の先端をギターのボディなどに接触させると「ラ/A」の音が鳴り、その音程を耳で覚えてチューニングをはじめます。この「ラ」さえ鳴ってくれればどんな楽器でも調音可能ですが、自分自身がしっかりしていなければ何もうまくはいかない極めてアナログなものでした。そんな時代を通過した後、いつ頃買ったかは忘れましたが、けっこう長く使っていたのはグレコの『GT-01』。昔のカッコイイ車みたいな品名ですが、エレキギター本体のからこのチューナーにコードをさして、メーターを見ながらE・A・D・G・C・Eの6弦を個別に調弦できるというエレキギター専用のチューナーでした。


おんさなのさ
 

チューナーだっちゅーの

でもって最近、プロアマ問わず多くのミュージシャンがにわかに使っているのがこの洗濯バサミ式クロマチック・チューナー『TD-30M』というわけです。ギターのヘッド部分にパチッと止めれば、ギター本体の振動を感知してデジタル液晶メーターがふれるしくみ。クロマチック=半音階ごとに調音できるのはかなり前からあったんですが、この商品の最も優れたところは、チューニングする場合に最も見やすい位置にチューナーがあるという点。つまり前出の『GT-01』ばかりでなく多くのチューナーはその精度は優れていても、いかんせん足元に置くタイプが多く、調弦する際にはギタリストもベーシストも皆ある一定の前屈姿勢を強いられるというものでした。しかし、この『TD-30M』は、ギターを調弦する際にミュージシャンの目線が自然と向かうその先=弦巻部に設置してラクラク・チューニングができるというわけです。また、ギターだけでなくバイオリンの調弦どころか、なんと管楽器にも装着し調音できるというこれまでにない画期的なもの。取扱説明書は和英独仏の4カ国語で書かれているということはかなりグローバルに販売されている商品なのでしょう。私が買ったのはYAMAHAの商品ですが、同タイプの商品がKORGからも『AW-1』として出ています。

いやしかし、書いててあらためて思ったんですが、ギターはチューナーを使ってきちっと調弦すれば、押さえたフレットによってその音程を鳴らすことができます。例えばクラリネットなどのリード楽器も、基本的なチューニングをすれば後は押さえた指どおりの音程がでるはずです。しかしバイオリンはどうでしょう。この『TD-30M』で4弦ともばっちり調弦したところで、バイオリンにはフレットがありませんから、ここを押さえればその音程がでるという目安も保証もありません。演奏者の経験と勘による判断で押さえられたポイントで音程が決定されるという極めてヒューマンでシビアなものですから、そう考えるとフレットのない楽器にはこの『TD-30M』はほとんど意味をなさないのです。そういう意味ではピアノは楽ですよ。調律は専門家に来ていただいてやってもらうのをオシャレな雑誌でも見ながらただ待つのみで、あとは鍵盤を叩けばその音が出てくれるわけですからね。他力本願なぜ悪いってなもんです。

あとはね、歌ですよ、歌、ね。こればっかりはどうもねぇ。私の場合ど〜もぶら下がる傾向がありまして、つまり、常に気を張っていないとつい音程が下がり気味になる、これを音楽業界では“フラットする”と言うんですが、自分ではフラットしてるつもりはなくても録音したものを聴くと、う〜ん、たしかに微妙にぶら下がってることがしばしばありましてですね。喉を鳴らして骨を伝ってくる音程と、外側から耳に到達した音程を脳で総合的に判断してるんでしょうが、そのどこかに問題があるんでしょうか。・・・ん?、待てよ、ってことはこの最新式チューナー『TD-30M』を洗濯バサミ式で耳たぶに装着し、発した声に反応して半音階で表示される液晶メーターで1音ごとに音程を確認調整しながら歌唱する、という技術を習得することによって完璧な音程での歌唱が可能、ということになるではないか。そんなシンプルなことをなぜ今まで気づかなかったんだ!んも〜バカバカバカん!ということで早速この『TD-30M』を耳たぶに付けてみましたがどうでしょう、うぅぅ〜ん、どうやら新たな問題が発生したようです。この状態で一体どのような体勢をとれば耳たぶに装着されたチューナーの液晶メーターを目で確認することができるのでしょうか。

便利で快適なはずの最先端商品を購入したことにより、音楽家として新たに悩むべき大きな問題と直面するというなんとも皮肉な状況に陥りながら今週はここまで。来週水曜日は14年ぶりに鹿児島で演奏します、よろしくでごあす。


悩める音楽家たち

2007/02/09


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